相続・空き家


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台風で隣の空き家から雨漏り。持ち主に連絡が取れないと、どうなるのか

台風が過ぎた翌朝、隣の家の方から電話が入ることがあります。天井にしみが広がってきた、お隣の屋根から水が回っているようだ、と。ところが、その家には誰も住んでいません。

台風で屋根が傷んだとき、困るのは、その家の持ち主だけではないのです。

以前、こんなことがありました。

テラスハウスの屋根が台風で傷み、そこから雨が入って、隣の住戸で雨漏りが起きました。壁を水が伝ってくる。天井にはしみが広がる。放っておけば、被害は大きくなっていきます。

早く直したい。

ところが、傷んでいる側の家は空き家でした。そして、その家の持ち主と連絡が取れません。

登記簿を確認しました。登記簿を見れば、登記上の所有者と住所は確認できます。でも、その家は相続登記がされておらず、亡くなった前の所有者の名義がそのまま残っていました。

そこからが大変でした。

登記されている住所へ手紙を出す。でも戻ってくる。役所の固定資産税の窓口にも行きました。税金を納めている人は分かっているはずです。でも、個人情報ですから教えてもらうことはできません。

空き家の玄関にもメモを挟みました。でも、その家へ誰かがいつ来るのか分かりません。半年後かもしれないし、もう誰も来ないかもしれない。その間にも、隣では雨漏りが続いています。

ここが困るところです。こちらは修理したい。でも、勝手に他人の家の屋根を触るわけにはいきません。

そこで役所へお願いしました。

「所有者を教えてほしいとは言いません。ただ、隣で雨漏りが起きています。こちらで修理をしたいので、一度連絡がほしいと伝えてもらえませんか」

手紙も預けました。一度行けば終わる話ではありませんでした。何度か足を運びました。

こちらが伝えたかったのは、難しいことではありません。修理費はこちらで負担する。ただ、人の家なので勝手には触らない。承諾だけほしい。会う場所は役所でもいい。こちらから出向いてもいい。できるだけ、相手が動きやすい方法を考えました。

そして、ようやく所有者と連絡がつきました。

このときに思ったことがあります。

連絡がつかない人が、こちらを無視しているとは限らない。

そもそも、連絡が届いていないことがあります。親から家を相続したけれど、登記名義は親のまま。本人も引っ越しているのに、登記簿の住所は昔のまま。空き家には誰も行かない。こうなると、外から連絡を取ろうとしても、入口がほとんどありません。

普段は、それでも困らないかもしれません。誰も住んでいない。近所からも何も言われない。固定資産税だけ払って、そのまま置いている。

でも、台風が来たら状況は一気に変わります。屋根が飛ぶ。外壁が壊れる。雨が入る。庭木や物が隣へ倒れる。そして、隣の家に被害が出ます。

そのとき、「持ち主と連絡が取れません」では、隣の方は待ってくれません。雨漏りは、連絡がつくまで止まってくれないからです。

何も起きなければ、登記名義が昔のままでも、住所が古いままでも、日常生活では困りません。でも、何か起きた瞬間に、「連絡が取れる空き家」と「連絡が取れない空き家」の差が出ます。私は、ここが大きいと思っています。

相続した家を、すぐに売る必要はありません。貸さなくてもいい。しばらく空き家のまま残すという選択もあります。

ただ、何かあったときに、自分のところへ連絡が届く状態にはしておいた方がいいと思います。

名義が亡くなった方のままなら、相続登記をしておく。自分が引っ越して登記簿の住所が古いままなら、住所変更も確認しておく。

相続登記はすでに義務化されています。2024年4月1日より前の相続で、まだ相続登記をしていない場合も対象になり、原則として2027年3月31日までが一つの期限になっています。

住所や氏名の変更登記も、2026年4月1日から義務になりました。変更があった日から2年以内に申請することとされています。こちらも、施行日より前の引っ越しで登記が古いままの場合が対象になり、2028年3月31日までの猶予が設けられています。

難しい話をしたいわけではありません。

登記簿を見た人が、今の持ち主へたどり着けるようにしておく。それが大切です。

もう一つ、この時期だからこそ確認しておきたいのが火災保険です。

親が住んでいたときに加入した火災保険を、そのままにしている方もいると思います。でも、親が亡くなって所有者が変わった。誰も住まなくなった。家の使われ方が変わった。

そういうときは、一度保険証券を出して、代理店や保険会社へ、「今は空き家になっています。この契約のままでいいですか」と確認しておいた方がいいと思います。

火災保険は、建物の所有者や使われ方が変わったときに、契約内容の変更手続きが必要になることがあります。伝えていないと、いざというときに困ることもあります。これも、台風が来てから証券を探すより、何も起きていないときに確認しておく方が楽です。

台風の前に、遠く離れた実家の屋根へ上がって確認することはできません。毎月、草刈りに行くことも難しい。

でも、相続登記を確認する。住所を確認する。火災保険を確認する。これは、遠くに住んでいてもできます。

何もしなくても、何年も何も起きないかもしれません。それなら、それでいいのです。

でも、もし台風の翌日に、「あなたの空き家から、隣の家に雨漏りしています」という連絡が来たら。すぐ話ができる状態なのか。それとも、誰もあなたへ連絡できない状態なのか。同じ空き家でも、ここには大きな違いがあります。

空き家で困るのは、古くなることだけではありません。

何か起きたときに、誰も動けなくなることがあります。

寝屋川市や枚方市でも、隣の空き家のことでご相談をいただくことがあります。持ち主の方に悪気があったわけではなく、連絡の入口がなかっただけ、ということが少なくありません。

売るか、残すか、貸すか。そこまで今の段階で決めなくてもかまいません。まずは、何かあったときに連絡が届き、自分が動ける状態にしておく。それだけでも、ずいぶん違います。

登記のことは後回しになりがちです。責められることでは、ありません。台風の多い時期に一度、実家や空き家の登記と火災保険を思い出していただければと思います。

今の名義がどうなっているのか分からない、という段階でも大丈夫です。どこから確認すればいいのか、順番も含めて一緒に整理できます。

※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、法務局・司法書士にご確認ください。

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空き家の査定は一括査定サイトの前に。営業電話に追われない頼み方

夜、スマートフォンで「空き家 査定」と検索してみる。

一番上に、一括査定のサイトが出てくる。住所と面積を入れる欄がある。その下に、電話番号の入力欄がある。

そこで指が止まる。入力していいものかどうか、迷う。

空き家を持っていると、「まだ売ると決めていないし、もう少しこのままでいいか」と思うことがあります。売るのか、残すのか、貸すのか。まだ決められない。だから、何もしない。

でも、空き家は人が何もしなくても、少しずつ変わっていきます。雨が降る。風が吹く。夏は暑くなり、冬は冷え込む。庭の草は伸びます。設備は古くなります。雨漏りが起きても、住んでいる人がいなければ気付くのが遅れます。

「今すぐ困っていない」という状態が、ずっと続くとは限りません。

だから私は、売るかどうかは別として、空き家の価格くらいは一度確認しておいた方がいいと思っています。ただし、ここで一つ注意があります。

「とりあえず査定だけ」と思って、一括査定サイトに住所や電話番号を入力する。

すると、その瞬間から話が変わることがあります。

数社の不動産会社から連絡が入る。メールだけならまだいい。電話がかかってくる。出なければ、またかかってくる。別の会社からもかかってくる。中には、「近くまで来たので」「一度ご挨拶だけでも」と、突然訪問してくる業者もあります。

こちらは、「家がいくらくらいなのか知りたかっただけ」なのに、いつの間にか、

「どの会社に売却を任せるのか」

という話になっている。これでは、査定を頼むこと自体が嫌になります。

実際、「査定を頼んだら営業電話が多くて嫌になった」という話は珍しくありません。だから、「不動産会社には相談したくない」「まだ何もしないでおこう」となる。でも、それでは本末転倒です。

問題なのは、査定をすることではありません。

査定の入口を間違えることです。

空き家について最初に知りたいのは、本来もっと単純なことです。この家はいくらくらいなのか。今売るとしたら、どのくらいになるのか。建物を残したまま売れるのか。解体した方がいいのか。貸すという選択肢はあるのか。

まず、そこです。売却を決めるのは、そのあとでいい。

例えば、査定をして1,500万円前後だと分かったとします。そこで初めて、1,500万円なら売る。この金額なら、もう少し持っておく。貸した場合の家賃を調べてみる。家族と相談する。こういう話ができます。

価格を知らなければ、「昔はこの辺も高かった」「親がお金をかけて建てた家だから」「もう少し待てば値段が上がるかもしれない」という感覚だけで考えることになります。

その間にも、空き家は歳を取ります。人間と同じです。今年の家と、3年後の家は同じではありません。屋根も外壁も設備も、少しずつ古くなります。売ろうと思ったときに、「雨漏りしています」「給湯器が動きません」「庭木が伸びています」「建物の傷みが進んでいます」となれば、買う側の見方も変わります。

それでも、「まだ売るかどうか決められない」という方はいると思います。私は、それでいいと思っています。売る必要はありません。

ただ、

何も知らないまま持ち続けることと、価格を知ったうえで持ち続けることは、まったく違います。

査定をして、「今は売らない」と決める。これも一つの判断です。でも、「面倒だから何もしない」「営業されるのが嫌だから何もしない」という状態で数年が過ぎると、あとで困ることがあります。

だから、査定はしておいた方がいい。ただし、電話番号を入力した瞬間から何社もの営業電話が始まるような査定でなくてもいい。

ここまで書いておいて何ですが、私自身も不動産会社をやっています。こう書くと、結局は自分のところに相談してほしいだけだろう、と思われるかもしれません。

それでも書いておきたいのは、価格を知るだけなら、そこまで大がかりな話ではないからです。

例えば、机上査定という方法があります。室内を見ていなくても、おおまかな査定書は作れます。

戸建てなら、物件の所在地、土地の面積、建物の面積、築年数。マンションなら、物件の所在地、マンション名、専有面積。こちらから伝えるのは、これくらいです。あとは不動産会社の側で調べて作ります。

もちろん、中を見ていない分、実際の状態までは反映されていません。傷みが進んでいれば下がりますし、思ったより手が入っていれば上がります。それでも、「だいたいこのあたり」という数字は出ます。

家の中を片づける必要も、誰かに来てもらう必要もありません。まず知りたいのが価格だけなら、ここまでで足ります。

そのうえで、不動産会社を選んで、1社ずつ相談する方法もあります。最初に、「まだ売却は決めていません」「まず価格だけ知りたいです」「電話営業は困ります。連絡はメールでお願いします」と伝えておけばいい。それで態度が変わる会社なら、売却を任せる会社としても一度考えた方がいいと思います。

空き家を売る会社を選ぶ前に、

こちらの話を聞く会社なのか。自分たちの都合で話を進める会社なのか。

査定の段階で、かなり分かります。

寝屋川市や枚方市でも、「まだ売ると決めていないのですが」という前置きから始まるご相談をよくいただきます。その前置きは、まったく必要ありません。決めていないから聞く、で構わないと思っています。

空き家について本当に怖いのは、査定を頼むことではありません。売らされることでもありません。私は、

何も知らないまま時間だけが過ぎ、いざ動こうとしたときに選択肢が減っていること

だと思っています。

「まだ売らない」。それでもいい。「今年はそのまま持っておく」。それでもいい。ただ、今いくらなのか。今どんな状態なのか。今なら何ができるのか。ここまでは知っておく。そのうえで、自分で決める。

空き家は、不動産会社のために売るものではありません。持っている人が、自分のタイミングで判断するものです。

だからこそ、何も知らずに放置するのではなく、営業に追われる査定でもなく、まず自分のために、今の価格を知る。そこから始めればいいと思います。

なお、そもそもなぜ不動産会社は査定のあとに電話をかけたがるのか。会社側にどんな事情があるのかについては、以前、別の記事に書きました。あわせて読んでいただくと、「どこに、どうやって査定を頼むか」を考えやすくなると思います。

急いで決めなくて大丈夫です。所在地と面積、築年数くらいをお知らせいただければ、まず机上査定という形で、おおよその価格からお伝えします。

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エアコンをつけても暑い実家。大きな工事の前にできる暑さ対策

久しぶりに実家の玄関を開けたら、むっとした空気が流れてきた。

居間ではエアコンが動いている。それなのに、涼しいという感じがしない。2階へ上がると、階段の途中からもう空気が違う。

夕方になると、西日の入る部屋だけが急に暑くなる。そんな家もあると思います。

熱中症というと、外で長い時間過ごしたときに起きるものだと思われがちです。でも、2025年に熱中症で救急搬送された方を見ると、発生場所で最も多かったのは住居でした。

消防庁の発表によると、2025年5月から9月に熱中症で救急搬送された方は全国で10万510人。そのうち65歳以上の高齢者が約57%を占めています。そして、発生した場所で最も多かったのが住居で、全体の約38%でした(消防庁「令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」2025年10月29日発表の確定値)。

道路でも、仕事場でもなく、家の中がいちばん多い。そう言われると、思い当たる方もいると思います。離れて暮らす親が、あの家で一人で夏を過ごしている。

今年の夏も、本当に暑いですね。外から帰ってきてエアコンをつけても、なかなか部屋が涼しくならない。1階はまだいいけれど、2階へ上がるとむっとする。

暑ければエアコンをつける。もちろん、それが一番最初です。でも毎日のようにエアコンを使っていると、「この家、もう少し暑くなりにくくできないのかな」と思うことがあります。

そこで家全体の断熱工事を考えると、一気に話が大きくなります。壁や屋根、窓まで手を入れれば費用も大きくなる。「そこまではいいかな」となって、結局何もしない。そして来年も、「やっぱりこの部屋は暑いな」と同じことを思う。

私は、最初からそこまで大きく考えなくてもいいと思っています。

例えば、西日の強い窓があります。夕方になるとその部屋だけ暑くなるのであれば、まず日差しを遮ってみる。すだれを付ける。シェードを付ける。遮光カーテンに変えてみる。

これなら大きな工事ではありません。やってみて少し違うなら、そのまま続ければいい。あまり変わらなければ、次の方法を考える。

家の暑さ対策も、小さなところから始めればいいと思います。

次に考えられるのが、屋根や外壁です。真夏の屋根や外壁には、毎日強い日差しが当たっています。ちょうど外壁や屋根の塗替えを考える時期なら、色だけを決めるのではなく、

「暑さ対策になる塗料はありますか」

と聞いてみる。

遮熱を考えた塗料もあります。ただ、屋根と外壁では効き方が違うこともあります。そのあたりも一緒に聞いてみてください。

暑さ対策だけのために、まだ塗り替える必要のない外壁を全部塗る。それでは工事のハードルが高くなります。でも、どうせ近いうちに塗り替えるのであれば、普通に塗るのか、暑さのことも考えて塗るのか。一緒に考えてもいいと思います。

何もしなければ、今年も暑い。来年も暑い。そして外壁や屋根はいずれ塗り替える時期が来ます。

それなら、そのときに一つ工夫しておく。

窓も同じです。西日が強いから毎年カーテンを閉め切る。エアコンを強くする。それでもいいのですが、窓を触る機会が来たときに「暑さのことも考えてみよう」と選び方を少し変えることもできます。

こういう小さな選択が、何年かすると家の暮らしやすさの違いになってくるのだと思います。

特にお盆で実家へ帰ると、「この家、こんなに暑かったかな」と感じることがあります。昔から住んでいる親は、「昔からこんなもんや」と気にしていない。でも、久しぶりに帰った子どもの方が気付くことがあります。

西日の入る部屋がとても暑い。2階へ上がると空気がこもっている。エアコンをつけていても暑そうにしている。

そんなときに、「家を全部リフォームしよう」と言っても話が大きすぎます。でも、

「この窓に日よけを付けようか」「次に外壁を塗るとき、暑さ対策も考えてみようか」「この部屋だけ何かできないかな」

なら、話はしやすいと思います。

何もしなければ、来年も同じ部屋で同じ暑さを我慢することになります。でも、今年一つだけ変えてみたら、来年は「去年より少しましやな」となるかもしれません。

その違いは、最初から何百万円もかけることではありません。まず一つやってみることです。

もっとも、実家の暑さが気になるときは、そこから親のこれからの暮らしを考えることもあります。

この夏を見ていて、この家で一人のまま暮らし続けるのは難しいのではないか。いっそ、こちらへ来てもらった方がいいのではないか。そう考える方もいると思います。

子どもの家へ来てもらうのであれば、迎える側の家にも少し手を入れる必要が出るかもしれません。段差がある。トイレやお風呂が使いにくい。寝室まで階段を上がらなければならない。そういうところは、リフォームで考えられる部分があります。

そして実家が空くのであれば、売るのか、貸すのか、そのまま残すのかも考えることになります。すぐに決めなくても構いませんが、いくらくらいの家なのかが分かっていれば、家族で話すときの材料になります。

暑さの話から始まって、親のこれからの暮らしや実家のことまで考える。そんなきっかけになることもあります。

リフォームというと、キッチンを全部入れ替える。お風呂を全部入れ替える。外壁も屋根も全部やり直す。そんな大きな工事を想像する方も多いと思います。

でも、それだけがリフォームではありません。日差しのきつい窓に日よけを付ける。塗替えのときに塗料を考える。古くなった窓を見直す。家の小さな困りごとを一つずつ減らしていくこともリフォームです。

今年の夏、「この部屋だけ暑い」「2階が暑くて使いにくい」「エアコンをつけてもなかなか涼しくならない」と感じたのであれば、その感覚をそのままにせず、一度家を見てみる。

窓から強い日差しが入っているのか。屋根や外壁の塗替え時期が来ているのか。窓そのものを見直した方がいいのか。原因によって、できることも変わります。

だから、大きな工事を決めてから相談する必要はありません。

「この家、夏になると暑いんだけど、何かできることはないかな」

そのくらいからでいいと思います。

一つだけ、正直にお伝えしておきます。

リフォーム工事については、寝屋川市や枚方市のような近隣であれば、付き合いのある工務店と一緒に現地へ見積りに伺えます。ただ、遠方の工事までお受けするのは難しいのが実際のところです。

一方で、実家がどこにあっても、査定や売却のご相談であればお受けできます。この家をどうするか、という話であれば、場所は問いません。

何もしないまま毎年同じ暑さを我慢するのか。できるところを一つ変えて、少し暮らしやすくするのか。それとも、この家で暮らし続けるかどうかから考えるのか。

最初の一歩は、それほど大きな話でなくてもいいと思います。まだ何も決めていない段階でも大丈夫です。

この夏に感じたことを、そのまま話していただければ、そこから一緒に整理します。

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実家をどうするか。帰省したときに、親の考えを聞いておく

車のトランクにお土産を積んで、久しぶりに実家へ向かう。

玄関を開けると、親が出てきて「よう来たな」と言う。居間に座って、しばらくは孫の話や近所の話が続く。

そんな時間の中で、少し考えておいた方がいいことがあります。親のこれからの生活と、実家のことです。

お盆になると、田舎の実家へ帰る方も多いと思います。普段は離れて暮らしている家族が集まり、久しぶりに親の顔を見る。孫を連れて帰る方もいるでしょう。

元気に暮らしているときは、なかなか話題にしにくいものです。「まだそんな話は早い」「縁起でもない」と言われることもあります。でも、何かが起きてからでは、ゆっくり話せないことがあります。

親が体調を崩した。入院した。一人暮らしが難しくなった。施設へ入ることになった。そうなってから初めて、

「この家、どうする?」

と家族で話し始める。でも、そのときには本人が自分の考えを十分に話せないこともあります。

だから私は、元気なうちに一度だけでも話しておく方がいいと思っています。大げさな話をする必要はありません。

「この家、これからどうしたい?」

それくらいからで十分です。

ずっと住み続けたいのか。子どもの誰かに住んでほしいのか。いずれ売ってもいいと思っているのか。できれば残してほしいのか。親がどう考えているのかを知るだけでも違います。

子ども側が勝手に、「この家は残したいはず」と思っているかもしれません。でも、親は「自分がいなくなったら売ってくれていい」と思っているかもしれません。反対に、子どもは売るつもりでも、親は残してほしいと思っているかもしれません。

このズレは、話さなければ分かりません。

そして、実家の話は建物だけの話ではありません。親がこれからどこで暮らしたいのか。一人で暮らし続けるのか。子どもの近くへ移るのか。施設も考えるのか。その生活と、家のことはつながっています。

例えば、親が実家を離れて子どもの近くへ移ることになった。そのとき、実家を空き家のまま残すのか。売るのか。貸すのか。

何も決めないまま空き家になると、その後の判断はどうしても後回しになりがちです。

「落ち着いてから考えよう」

そう思っているうちに、半年、1年と過ぎることがあります。その間にも家は古くなります。庭の草は伸びます。設備も傷みます。固定資産税などの負担も続きます。

何より、家族の中で、「誰が管理するの?」「誰が片づけるの?」「売るならいつ?」という話が残ります。

一方で、親が元気なうちに少しでも考えを聞いておけば、何かがあったときの迷いは減ります。

「お父さんは売ってもいいと言っていた」

「お母さんは、できればしばらく残してほしいと言っていた」

それだけでも、家族で話すときの基準になります。

もちろん、帰省して突然、「この家、売るの?」と切り出せば、親も嫌な気持ちになるかもしれません。私は、もっと普通の会話からでいいと思います。

「最近、家の手入れ大変じゃない?」

「庭の草刈り、しんどくない?」

「階段、前より大変になってない?」

そういう話から、

「これからもここで暮らしたい?」

と聞いてみる。

家の処分を決めるための話ではありません。親がこれからどう暮らしたいのかを知るための話です。そこから、実家のことも少しずつ見えてきます。

お盆は、普段離れて暮らしている家族が集まります。兄弟姉妹が揃う家庭もあるでしょう。だからこそ、話せる機会でもあります。

家族の話は「いつでもできる」と思っていると、なかなかしないものです。それぞれに仕事や暮らしがあって、全員の予定が合う日は、思っているほど多くありません。だからこそ、集まれたときが、話しやすい機会になります。そして、暮らし方が変わってから、「もっと早く聞いておけばよかった」となることがあります。

実家を売るかどうかは、今決めなくていい。相続の話まで全部決めなくてもいい。

ただ、親はこれからどう暮らしたいのか。この家をどう考えているのか。それだけでも聞いておく。

帰省するのであれば、今年は少しだけ、そんな話をしてみてもいいと思います。家族が集まるからこそ話せることがあります。

そして、実家のことは、家だけの話ではありません。親のこれからの生活を考えることから始まる話です。

うまく話せなかったとしても、気にしなくて大丈夫です。一度で全部を聞き出す必要はありませんし、次に会ったときにまた続きを話せば十分です。

話してみて、実家のことで気になることが出てきたときは、いつでもお声がけください。売る、貸す、そのまま残す。それぞれにどんな進め方があるのかを、一緒に整理します。

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遠方にある実家の空き家。売る前に確認しておきたいこと

久しぶりに実家へ寄ったら、郵便受けからチラシがあふれていた。

玄関を開けると、少し埃っぽい空気。台所の窓を開けて、庭を見ると、草が思っていたよりも伸びている。

親が住んでいた家に、今は誰も住んでいない。そのことは分かっている。でも、忙しさに紛れて、気づけば半年、一年と過ぎてしまっている。そういう方は、少なくありません。

売った方がいいのか。貸した方がいいのか。それとも、まだこのまま置いておいていいのか。考え始めると、決めることが多すぎて、結局また先送りになる。これは、よくあることです。

責められることでは、ありません。実家をどうするかというのは、それくらい重たい決断です。

ただ、空き家は、誰も住まなくなると、少しずつ傷んでいきます。

窓を開けることがなくなり、室内の空気が入れ替わらない。水道を使わなくなり、排水口の水が切れる。小さな雨漏りがあっても、誰も気づかないまま広がっていく。

庭木や雑草も、放っておけば伸び続けます。

道路や隣の敷地にはみ出してしまえば、近隣から連絡が入ることもあります。傷みがひどくなれば、行政から管理を求められることもあります。害虫や、ごみの不法投棄につながることもあります。

問題が大きくなってから対応しようとすると、修理や片付けにかかる費用が、そのぶん増えてしまいます。

こう聞くと、急いで何とかしないと、と不安になるかもしれません。

でも、慌てなくて大丈夫です。

放置された空き家だからといって、すぐに売らなければならないわけではありません。

空き家には、いくつかの選び方があります。

必要なところだけ修理して貸す。家族が使えるように、しばらく残しておく。定期的に様子を見ながら、判断を保留する。売却する。

どれが合っているかは、建物の状態や場所だけでは決まりません。

親御さんが戻る可能性はあるのか。兄弟や親族が使う予定はあるのか。固定資産税や管理の負担を、これからも続けられるのか。そうした事情によって、選ぶ方法は変わってきます。

貸すことを考える場合は、家賃で固定資産税や管理の負担をまかなえるかどうかが、ひとつの目安になります。

水道や電気が使えるか。雨漏りはないか。給湯器や水回りに問題はないか。こうした点を直すのに、どれくらい費用がかかるのか。直したとして、周辺で借り手が見つかりやすい地域なのか。

修理をすれば必ず借り手が見つかる、というわけでもありません。だからこそ、先に修理を始めるのではなく、まず費用と見込める家賃を確認してから決めます。

片付けや修理を、先にすべて終わらせる必要もありません。

家具や荷物が残っている状態でも、建物の確認や、おおよその査定はできます。片付けにかけた費用が、そのまま売却価格に上乗せできるとは限らないので、先に手をつけない方がいい場合もあります。

もうひとつ、忘れられがちなのが、名義の問題です。

家が親御さんの名義のままで、ご本人が認知症などにより契約の内容を十分に判断できない状態にある場合、ご家族だけの判断では、売ることも貸すこともできないことがあります。

その場合は、成年後見制度など、別の手続きを含めて考える必要が出てきます。ここは、実際に多くの方が悩まれるところです。

遠方にあって、なかなか見に行けない場合でも、すべてを自分で行う必要はありません。

近くに住むご親族に、鍵を預けて見てもらう。建物の外観や室内の写真を撮ってもらう。家財道具がどの程度残っているか、確認してもらう。

そのうえで、貸した場合の家賃、修理にかかる費用、売却した場合の価格を確認できれば、何度も現地へ足を運ばなくても、今後の方向を考えられます。

寝屋川市や枚方市に住みながら、遠方の実家をどうするか迷っている、というご相談も少なくありません。距離があるぶん、判断の材料が集まりにくいのだと思います。

遠方であっても、一人ですべてを抱え込む必要はありません。

まずは、いまの状況を、不動産や相続にくわしい人に話してみる。それだけでも、ずいぶん見通しが立ちます。

売ることを前提にお話をうかがうわけではありません。貸す方法、残しておく方法、売る方法。それぞれにかかる費用と、得られるものを一緒に整理しながら、進め方を考えます。

まだ決めていない段階でも大丈夫です。気になることが出てきたときに、その都度うかがえれば十分です。

※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、司法書士などの専門家にご確認ください。

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