実家をどうするか。帰省したときに、親の考えを聞いておく

    車のトランクにお土産を積んで、久しぶりに実家へ向かう。

    玄関を開けると、親が出てきて「よう来たな」と言う。居間に座って、しばらくは孫の話や近所の話が続く。

    そんな時間の中で、少し考えておいた方がいいことがあります。親のこれからの生活と、実家のことです。

    お盆になると、田舎の実家へ帰る方も多いと思います。普段は離れて暮らしている家族が集まり、久しぶりに親の顔を見る。孫を連れて帰る方もいるでしょう。

    元気に暮らしているときは、なかなか話題にしにくいものです。「まだそんな話は早い」「縁起でもない」と言われることもあります。でも、何かが起きてからでは、ゆっくり話せないことがあります。

    親が体調を崩した。入院した。一人暮らしが難しくなった。施設へ入ることになった。そうなってから初めて、

    「この家、どうする?」

    と家族で話し始める。でも、そのときには本人が自分の考えを十分に話せないこともあります。

    だから私は、元気なうちに一度だけでも話しておく方がいいと思っています。大げさな話をする必要はありません。

    「この家、これからどうしたい?」

    それくらいからで十分です。

    ずっと住み続けたいのか。子どもの誰かに住んでほしいのか。いずれ売ってもいいと思っているのか。できれば残してほしいのか。親がどう考えているのかを知るだけでも違います。

    子ども側が勝手に、「この家は残したいはず」と思っているかもしれません。でも、親は「自分がいなくなったら売ってくれていい」と思っているかもしれません。反対に、子どもは売るつもりでも、親は残してほしいと思っているかもしれません。

    このズレは、話さなければ分かりません。

    そして、実家の話は建物だけの話ではありません。親がこれからどこで暮らしたいのか。一人で暮らし続けるのか。子どもの近くへ移るのか。施設も考えるのか。その生活と、家のことはつながっています。

    例えば、親が実家を離れて子どもの近くへ移ることになった。そのとき、実家を空き家のまま残すのか。売るのか。貸すのか。

    何も決めないまま空き家になると、その後の判断はどうしても後回しになりがちです。

    「落ち着いてから考えよう」

    そう思っているうちに、半年、1年と過ぎることがあります。その間にも家は古くなります。庭の草は伸びます。設備も傷みます。固定資産税などの負担も続きます。

    何より、家族の中で、「誰が管理するの?」「誰が片づけるの?」「売るならいつ?」という話が残ります。

    一方で、親が元気なうちに少しでも考えを聞いておけば、何かがあったときの迷いは減ります。

    「お父さんは売ってもいいと言っていた」

    「お母さんは、できればしばらく残してほしいと言っていた」

    それだけでも、家族で話すときの基準になります。

    もちろん、帰省して突然、「この家、売るの?」と切り出せば、親も嫌な気持ちになるかもしれません。私は、もっと普通の会話からでいいと思います。

    「最近、家の手入れ大変じゃない?」

    「庭の草刈り、しんどくない?」

    「階段、前より大変になってない?」

    そういう話から、

    「これからもここで暮らしたい?」

    と聞いてみる。

    家の処分を決めるための話ではありません。親がこれからどう暮らしたいのかを知るための話です。そこから、実家のことも少しずつ見えてきます。

    お盆は、普段離れて暮らしている家族が集まります。兄弟姉妹が揃う家庭もあるでしょう。だからこそ、話せる機会でもあります。

    家族の話は「いつでもできる」と思っていると、なかなかしないものです。それぞれに仕事や暮らしがあって、全員の予定が合う日は、思っているほど多くありません。だからこそ、集まれたときが、話しやすい機会になります。そして、暮らし方が変わってから、「もっと早く聞いておけばよかった」となることがあります。

    実家を売るかどうかは、今決めなくていい。相続の話まで全部決めなくてもいい。

    ただ、親はこれからどう暮らしたいのか。この家をどう考えているのか。それだけでも聞いておく。

    帰省するのであれば、今年は少しだけ、そんな話をしてみてもいいと思います。家族が集まるからこそ話せることがあります。

    そして、実家のことは、家だけの話ではありません。親のこれからの生活を考えることから始まる話です。

    うまく話せなかったとしても、気にしなくて大丈夫です。一度で全部を聞き出す必要はありませんし、次に会ったときにまた続きを話せば十分です。

    話してみて、実家のことで気になることが出てきたときは、いつでもお声がけください。売る、貸す、そのまま残す。それぞれにどんな進め方があるのかを、一緒に整理します。

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