「建ぺい率オーバー」と書かれた中古住宅。住宅ローンの審査で何を見られるのか

    物件資料の備考欄に、小さな文字で一行だけ書かれていることがあります。

    「建ぺい率オーバー」。あるいは「容積率オーバー」。

    立地がよい。部屋数も多い。価格も予算内。家族も気に入っている。ところが、不動産会社から「この家は、建ぺい率か容積率を超えています」と説明を受ける。そこで、「この家は買えるのか」「住宅ローンは使えるのか」と不安になる方がいます。

    結論から言えば、建ぺい率や容積率を超えている家でも、住宅ローンを利用できる場合はあります。

    ただし、どの銀行でも利用できるわけではありません。同じ物件でも、ある銀行では住宅ローンを利用でき、別の銀行では断られることがあります。銀行によって、物件を見る基準が違うからです。

    住宅ローンの審査では、年収や勤務先だけを見ているわけではありません。購入する家そのものも審査されます。

    銀行にとって、その家は貸したお金を回収するための担保です。将来、その家を売れるのか。買いたい人が見つかるのか。法律上の問題が大きくないのか。そうしたことも見ながら、住宅ローンを出すかどうかを判断します。

    建ぺい率や容積率を少し超えている程度であれば、住宅ローンを利用できることがあります。反対に、超えている割合が大きい場合や、増築部分に問題がある場合は、取り扱わない銀行もあります。

    ここで注意したいのは、住宅ローンが使えるから、その家には問題がないということではありません。

    銀行が住宅ローンを出すのは、その時点の銀行の基準で、融資できると判断したということです。建物が法律どおりに建てられていることを保証しているわけではありません。将来、同じ大きさの家を建て替えられることを保証しているわけでもありません。

    今は住宅ローンが使えても、10年後や20年後に、その家を売るときも同じとは限りません。銀行の審査基準は変わることがあります。

    将来、その家を買いたい人が現れても、「この物件では住宅ローンを利用できません」と判断されれば、買える人は少なくなります。現金で買える人だけが対象になれば、売却に時間がかかったり、価格を下げなければならなかったりすることもあります。

    買う前に確認しておきたい書類のことは、こちらにもまとめています。
    「中古住宅選びは、将来売るときから逆算する。買う前に確認しておきたいこと」

    もう一つ、建て替えの問題があります。

    今建っている家が、建ぺい率や容積率を超えている場合、建物を取り壊して建て替えるときに、今と同じ大きさの家を建てられないことがあります。

    今は4LDKでも、建て替えると部屋数が減る。駐車場を残すと、家が小さくなる。その可能性があります。

    そもそも、なぜ基準を超えた家が建ってしまったのか。その背景については別の記事で書きましたが、多くは何十年も前の建築事情によるものです。今の所有者に落ち度があるわけではありません。

    だからといって、建ぺい率や容積率を超えた家を、すべて買ってはいけないということではありません。

    価格が安い。立地がよい。部屋数も多い。その条件と、将来考えられる問題を理解したうえで購入するのであれば、それも一つの判断です。

    ただ、住宅ローンが使えることだけを理由に、問題のない家だと考えることはできません。住宅ローンが使えるかどうかは、購入できるかという入口の話です。

    その家を購入したあと、修繕、建て替え、売却のときに何が起きるのか。そこまで分かったうえで、価格とリスクが見合っているかを判断することが大切です。

    気になっている物件があるけれど、どう考えればよいのか分からない。そういう段階でも大丈夫です。

    物件資料を見ながら、住宅ローンの見通しや、将来考えられることを一緒に整理します。買うと決める前の相談で構いません。

    ※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、自治体の建築担当窓口・金融機関・専門家にご確認ください。

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