相続した実家を共有名義にすると、次の世代で関係者が増えていく

    何十年も動いていない空き家を調べていくと、名義が何人にも分かれていることがあります。会ったこともない親戚の名前が並んでいる。そうなると、売るにも貸すにも、まず全員の気持ちをそろえないと前に進めません。

    そして、こうなる入口は、たいてい一つの相続です。

    実家を残したい。そう言う人は少なくありません。でも実際には、その家にもう何年も行っていないこともある。管理しているのは、別の兄弟だったりします。

    逆に、もう整理した方がいい、そう言う人は、冷たいように見えることもあります。でも、その人が、固定資産税、管理、近隣対応、そういう現実を一人で背負っている場合もあります。

    だから、相続や空き家の話は難しい。どちらが正しい、ではないからです。

    実際には、家を残したいというより、親との思い出を消したくない。そんな感情だったりします。逆に、早く売りたいというより、この先、自分一人では抱えきれない。そう感じていることもあります。

    つまり、家の話をしているようで、本当は、それぞれ違う感情を抱えている。だから、話が噛み合わなくなります。

    しかも今は、相続登記をしないまま放置することも、難しくなっています。誰かの名義には変えないといけません。手続きそのものの進め方については別の記事で書いていますので、ここでは深く触れないでおきます。

    その時に、共有名義にしてしまう。実は、ここから問題が大きくなることがあります。

    最初は、兄弟だけの話です。でも、時間が経つ。結婚する。子供ができる。さらに相続が発生する。すると、関係者が増えていきます。

    昔は仲が良かった兄弟でも、次の世代になると、親戚付き合いの薄い他人に近くなることもあります。そこで、売りたい、いや残したい、と話が割れる。しかも、人数が増えるほど、まとまりません。

    結果、何十年も動かない空き家になる。現場では、実際こういう流れがあります。

    だから、相続不動産は、今どうするかだけではなく、次の世代に火種を残さない。そこまで考えることが、大事なんだと思います。

    たとえば、先に現金で調整し、一人名義にする。あるいは、司法書士さんや弁護士さんに依頼して、遺産分割協議書を作成して整理する。知識のある不動産業者に相談しながら、査定も含めて進めていく。実際、そうやって、今の世代で終わらせようと動かれるご家族もあります。

    親が残してくれたものを、そのままの形で残すことだけが、引き継ぐことではないと思います。時には、現実的な形に変えて、次の世代が前向きに使える状態にする。それもまた、大事な相続なのかもしれません。

    親もきっと、子供や孫たちが揉め続けることより、ありがとう、そう言いながら次へ進んでくれることを願っているんじゃないでしょうか。

    もし今、うちも少し似ているかもしれない、そう感じたなら、まだ大きく揉める前に、一度、家族で話してみる。あるいは、専門家を交えて整理してみる。

    実際、もっと早く相談しておけばよかった、そう言われることは少なくありません。逆に、早めに整理を始めたご家族ほど、感情が大きくこじれる前に、少しずつ前へ進まれているように感じます。

    慌てなくて大丈夫です。まずは、今の名義がどうなっているのか。この先、誰が関わることになるのか。そこを確かめるだけでも、話の進め方が見えてきます。今の状況をそのままお話しいただければ、どこから手をつけるか一緒に整理できます。

    ※この記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、法務局や司法書士などの専門家にご確認ください。

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