相続した実家の話し合いが進まないとき。感情と事実を分けて整理する

    法事で久しぶりに兄弟が顔をそろえた。実家のことを話そうと思っていたのに、当たり障りのない話だけで終わって、そのまま解散してしまった。そんな帰り道を経験された方は、少なくないと思います。

    相続した実家を、このままにしておくわけにはいかない。それは家族みんなが分かっています。それでも、いざ話そうとすると前に進まない。これは、よくあることです。

    たとえば「そろそろ片付けた方がいいのでは」。そう言っただけで、親のものを早く処分したい人のように見られるかもしれない。「売却も考えた方がいいのでは」。そう言っただけで、お金が欲しい人のように思われるかもしれない。「誰が管理するのか決めよう」。そう言っただけで、自分はやりたくないと言っているように受け取られるかもしれない。

    本当は、責めたいわけではありません。急がせたいわけでもありません。ただ、このままでいいのかを話したいだけです。

    でも、家族の間では、その一言が出しにくいことがあります。

    相続不動産の話は、家の話に見えて、家族の感情が出ます。誰が親のそばにいたのか。誰が介護をしていたのか。誰が遠方にいて動けなかったのか。誰が家のことを気にしてきたのか。そういう思いが、不動産の話の中に入ってきます。

    だから、家族だけで話すと、事実の話をしているつもりが、いつの間にか感情の話になっていることがあります。

    荷物を片付ける話が、親への思いの話になる。管理費用の話が、誰が負担してきたのかという話になる。売却の話が、誰が得をするのかという話になる。そこで、話が重くなります。

    私は、家族で話すことが悪いとは思いません。むしろ、家族で話すことは大切です。ただ、感情だけで話すと、何を決めればいいのか分からなくなることがあります。

    そして、どちらの気持ちにも理由があります。近くにいた人には、近くにいたからこその積み重ねがあります。離れていた人には、行きたくても行けない事情があったはずです。どちらかが悪いという話ではないと思っています。

    だから、まず事実を分けて整理することです。

    家の名義は誰なのか。相続人は誰なのか。家の中に荷物はどれくらいあるのか。建物は使える状態なのか。雨漏りはないのか。庭や外回りはどうなっているのか。売却や管理には、どんな費用がかかるのか。

    こういうことを先に見える形にする。それだけでも、話し合いは少し変わります。

    誰が悪いのか。誰が得をするのか。そこから少し離れて、今、何を確認する必要があるのか。そこに戻しやすくなります。

    不動産業者が、家族の分け方を決めることはできません。でも、不動産の状態を見て、片付けや修繕、管理や売却に必要なことを整理することはできます。

    それは、誰かを説得するためではありません。家族で話し合うための材料を作るためです。

    寝屋川市や枚方市でも、こうしたご相談をお受けすることがあります。話がまとまらないままご連絡をいただいて、まずは建物を見て、現状を書き出すところから始めることもあります。

    相続不動産は、家だけの問題ではありません。家族の気持ち。過去の関係。親への思い。お金への不安。これからの負担。いろいろなものが重なっています。

    だからこそ、いきなり結論を出そうとしないこと。まずは、感情と事実を分けてみること。そこから、相続不動産の話は少し進めやすくなると思います。

    話し合いが止まっていることは、責められることでは、ありません。

    まだ何も決まっていない段階でも構いません。どこから手を付ければいいのか分からない、家族にどう伝えればいいのか分からない、という時点でのご相談でも大丈夫です。売る前提でお話しすることはありません。今の状態を書き出して、家族で話せる材料にするところから、一緒に整理していきます。

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