親が残した不動産の生かし方。住む・貸す・手放すを決める前に

    久しぶりに実家の鍵を開けると、閉め切ったままの空気のにおいがします。郵便受けにはチラシがたまり、庭の草は思っていたより伸びている。それでも、この家を売ればいいとは、すぐには思えない。そういう方は多いです。

    私は、そこはとても自然な感情だと思っています。親が大事にしてきた家。自分たち家族が関わってきた場所。お金だけで判断できないものがあるのは当然です。

    古い家だから売ればいい。使っていないから処分すればいい。そんなふうに簡単には割り切れません。そこには、親が暮らしてきた時間があります。自分が育った記憶があります。家族で過ごした日々があります。

    ただ、ここで大切なのは、残したいという気持ちだけで止めてしまわないことです。

    家は、持っているだけでは守れません。誰も住まなくなった家は、少しずつ傷んでいきます。空気の入れ替えがない。水回りを使わない。庭や外まわりの手入れも止まる。最初は少しの傷みでも、時間が経つと修繕費が大きくなることがあります。

    固定資産税もかかります。火災保険のこともあります。遠方にある家なら、誰が見に行くのかという問題も出てきます。

    親の家だから。思い出があるから。その気持ちは大切です。でも、大切にするなら、大切にするための準備が必要です。

    昔は、家を持つことが一つの目標でした。いつかはマイホーム。新築一戸建て。新築マンション。そういう時代がありました。

    でも今は、少し変わってきています。古い家をリノベーションして住む人もいます。昔ながらの雰囲気を残しながら、自分たちらしい住まいに変える人もいます。新しいものだけが価値ではなく、古い家の良さを見直す人も増えています。海外では、古い建物を直しながら長く使い、その街や国の歴史として残していく文化もあります。

    そう考えると、親が残してくれた不動産も、すぐに負担と決めつける必要はありません。生かせる方法があるかもしれない。

    住む。貸す。手を入れる。誰かに引き継ぐ。形はいろいろあります。

    ただし、どの形を選ぶにしても、現実の確認は避けられません。建物はどの程度傷んでいるのか。直すなら、どれくらい費用がかかるのか。今後、誰が管理するのか。家族や親族の考えは同じ方向を向いているのか。

    ここを曖昧にしたまま進めると、あとで話が止まります。誰か一人だけが動いている。誰か一人だけが費用を負担している。他の親族は、意見は言うけれど動かない。こうなると、家そのものの問題ではなく、人の感情の問題になっていきます。

    ただ、動かない側にも事情があることが多いです。遠方で暮らしていて簡単には行けない。自分の仕事や家庭のことで手が回らない。任せているつもりで、頼まれていないと思っている。どちらが悪いという話ではありません。

    相続不動産で難しいのは、建物の古さだけではありません。関わる人それぞれに、見ている景色が違うことです。親の近くにいた人。遠方で暮らしていた人。実家に思い入れが強い人。早く整理したい人。できれば残したい人。それぞれの立場があります。

    だからこそ、最初に必要なのは、急いで結論を出すことではありません。まず、今の状態を整理することです。気持ちの整理。建物の整理。お金の整理。家族や親族の考えの整理。そこを飛ばしてしまうと、後から揉める原因になります。

    親が残してくれた不動産は、財産か負担かで簡単に分けるものではないと思います。大切なのは、その不動産をどう生かしていくのか。そして、自分たちにできることと、できないことをきちんと分けて考えることです。

    思い出を守ることと、管理する責任は別の話です。

    残したいなら、残すための準備が必要です。活用したいなら、活用できる状態かを見ないといけません。手放すとしても、気持ちの整理がつかないまま進めると後悔が残ります。

    早く売るためではありません。後悔しないために考えるのです。

    とはいえ、実際には、何から考えればいいのか分からないことも多いと思います。気持ちの問題と現実の問題が重なるからです。一人で考えていても、なかなか答えが出ないこともあります。それは、決められないからではありません。判断するための材料がそろっていないからです。

    私は寝屋川市で不動産の仕事をしていますが、こうしたご相談をよく受けます。建物の状態を見て、直すならどのくらいかかるのか、貸せる形なのか、手放すならどんな段取りになるのか。その材料をそろえるところからお手伝いします。

    まだ売ると決めていない段階でも、現状を見てお話しすることはできます。慌てなくて大丈夫です。

    相続・空き家・認知症の無料レポートを受け取る

    お問い合わせ・無料相談はこちら