中古住宅は壊さないと分からないところがあります。床下の布基礎が途中で切れていた話

    畳を上げる。その下の床板を外す。床下に明かりを入れて、のぞき込む。

    一戸建てのリノベーション工事で、解体の初日にやることです。この日に見えたものが、今回の工事の進め方を変えました。

    今回の住宅は、購入する前から建物に傾きがあることは分かっていました。そのことはお客様にも説明し、承知されたうえで購入されています。そのため、傾きについては今回初めて分かったことではありません。

    ところが、実際に工事を始めると、見積もりの段階では分からなかったことが出てきました。

    最初に工事を始めたのは、1階の一番奥にある和室です。畳をめくり、その下の床を剥がして床下を確認しました。すると、布基礎が途中で切れているところが見つかりました。

    しかも1か所ではありません。まだ奥の和室一部屋しか床を剥がしていない段階で、その部屋だけで2か所見つかりました。

    これは見積もりの段階では確認できなかった部分です。見積もりをするときに、畳をめくり、さらに床まで剥がして床下を確認することはしていません。傾きがあることは分かっていた。しかし、床の下で布基礎がどのような状態になっているのかまでは分からなかった。実際に工事を始めて、床を剥がしたから分かったことです。

    そこで、予定していた工事をそのまま進めるのではなく、基礎屋さんにも現場を確認してもらい、どのように補強するのかを打ち合わせながら進めることになりました。

    現在は、既存の布基礎とは別に、内側にもう一本基礎をつくる方法などを考えています。傾いている部分についても、建物全体への影響を見ながら可能な範囲で高さを調整し、残った高低差は室内側で床のレベルを合わせていく予定です。

    そして今回、お客様からもう一つ希望をいただいています。今のLDKと奥の和室をつなげて、一つの広いリビングとして使いたいという希望です。

    そのためには、和室の入口にある柱を今の位置から動かす必要があります。

    ただ、広くしたいからこの柱を取ろう、というわけにはいきません。この柱は、現状のまま抜くことができない柱です。

    そこで、天井部分に左右へ渡す大きな梁を入れ、今ある柱を壁側へ移す方法で工事を進めます。柱をただ取り除くのではなく、梁を入れて支え方を変えたうえで、LDKと和室を一つの空間として使えるようにしていきます。

    リノベーションというと、キッチンを新しくしたり、フローリングを張り替えたり、壁紙をきれいにしたりするところに目が行きます。でも、実際の現場ではそれだけではありません。

    床を剥がしたら、予定していなかったものが見つかる。間取りを変えようとすると、柱や梁をどうするのか考えなければならない。

    基礎、柱、梁、床。それぞれを別々に考えるのではなく、建物全体を見ながら工事を進めていく必要があります。

    まだ、床を剥がしたのは奥の和室だけです。これからほかの部分も解体していきます。また、見積もりのときには見えなかったものが出てくるかもしれません。

    中古住宅のリノベーションでは、工事前にできるだけ確認して見積もりをします。それでも、壊さなければ分からないところがあります。

    だから、何か出てきたときにどうするのか。そのまま隠してしまうのではなく、一度止まって確認する。必要な職人さんと相談して、直す方法を考えてから次へ進む。

    完成してしまえば、今回の基礎も、新しく入れる梁も見えなくなります。

    見えなくなるところだからこそ、工事中にきちんと確認しておく。

    中古住宅を買うときに、床下まで全部開けて確かめてから決められることは、まずありません。見えないところが残るのは、買う人が確認を怠ったからではありません。責められることでは、ありません。

    だからこそ、何か出てきたときに、何が見つかって、どう直すのかを説明してもらえるかどうか。そこが後から大きく違ってきます。

    改装工事は、お付き合いのある工務店と一緒に対応しています。そのため、あまり遠方の工事はお受けしにくいことがあります。ただ、買おうとしている家、相続した家をこれからどうするかというご相談は、場所を問わずお聞きしています。

    古い家をどう直せばいいのか。直して使うのか、売るのか。まだ整理できていない段階でも大丈夫です。気になっていることから、お聞かせください。

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