住宅ローンの審査に通らなかった後。次の銀行を探す前に整理すること

    気に入った家が見つかって、住宅ローンの事前審査を申し込んだ。返事が来るまでの数日は、落ち着かない時間だと思います。

    そのあとで、不動産会社や銀行から「今回は承認になりませんでした」と伝えられる。

    理由は詳しく分からないまま、通らなかったという結果だけが残ります。この時点で、「自分は住宅ローンを借りられないのか」「もう家を買うことはできないのか」と思ってしまう方もいると思います。責められることでは、ありません。

    でも、1社の住宅ローン審査に通らなかったからといって、すべての金融機関で住宅ローンを利用できないと決まったわけではありません。住宅ローンは、どこの金融機関でも同じ基準で審査しているわけではないからです。

    実際、私もこれまで、ある金融機関では住宅ローンを断られた方が、別の金融機関では承認になり、住宅を購入されたケースを何度も見てきました。だから、1社から断られた時点で家探しを諦める必要はないと思っています。

    ただし、「それなら次の銀行」「そこもダメなら、また次」と、何も考えずに次々と住宅ローンの審査を申し込むのも違います。

    まず考えたいのは、「なぜ、この金融機関では通らなかったのか」ということです。

    住宅ローンの審査では、年収だけを見ているわけではありません。年齢、勤務先、勤続年数、収入、現在の借入れ、毎月の返済額、過去の支払い状況など、いろいろなことを見ながら審査されます。

    そして、人だけではありません。購入する不動産についても審査されます。

    本人には十分な収入があっても、購入する住宅に問題があれば、住宅ローンが難しくなることがあります。例えば、建ぺい率や容積率が基準を超えている。土地や建物の担保評価が低い。あるいは、前面道路が建築基準法42条の道路ではなく、43条の許可によって建てられている土地。こうした物件を取り扱わない銀行もあります。

    私たち不動産業者も、そこは見ています。この物件ならこの銀行、この条件ならあちらの銀行、と考えながら申し込む先を選びます。それでも通らないことがあります。

    つまり、住宅ローンを断られたからといって、「自分の年収が低いからだ」「自分には信用がないんだ」と決めつける必要はありません。

    本人側の問題なのか、物件側の問題なのか、借入希望額の問題なのか。まず、そこを整理することが大切です。

    例えば、3,500万円を借りたい人がいたとします。A銀行では難しくても、審査の考え方が異なるB銀行では承認になることがあります。反対に、本人には問題がなくても、その住宅についてA銀行では取り扱えないため、否決になることもあります。この場合、違う物件であれば住宅ローンを利用できる可能性があります。

    住宅ローンは、「通った」「落ちた」だけを見ていると、本当のところが分かりにくいものです。

    ただ、金融機関は、住宅ローンを断った詳しい理由を教えてくれないことも少なくありません。そこで必要になるのが、申込内容を一つずつ見直すことです。

    ほかに借入れはないか。クレジットカードの分割払いやリボ払いはないか。自動車ローンは残っていないか。携帯電話本体の分割払いなどで、支払いの遅れはなかったか。購入しようとしている不動産に、住宅ローン審査で問題になりそうなところはないか。

    そして、いちばん確かなのは、ご自身の信用情報を確認していただくことです。

    信用情報は、本人であれば開示を請求できます。主な信用情報機関にはCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターがあります。金融機関や保証会社によって利用している信用情報機関は異なるため、住宅ローンが通らなかった原因を確認したい場合は、それぞれの情報を確認してみる方法があります。

    開示してみると、自分の借入れや支払いの記録が分かります。忘れていた分割払いが残っていた。以前、支払いが遅れていた。そういうことが分かる場合があります。

    私たち不動産業者がいくら原因を考えても、信用情報そのものを見ることはできません。本人に確認していただくしかない部分です。

    そうやって可能性を一つずつ整理してから、次に申し込む金融機関を考えます。

    住宅ローンを1社断られ、「自分はもう家を買えない」と諦めてしまえば、そこで家探しは終わります。一方で、「それなら手当たり次第に申し込もう」と進めても、よいとは思いません。

    理由は二つあります。

    一つは、住宅ローンなどを申し込んだ情報は信用情報機関に一定期間登録されるということです。短い期間に何社も申し込めば、金融機関が信用情報を確認したときに、複数の申込みが行われていることが分かる場合があります。

    だからこそ、まず原因として考えられることを整理してから、次の金融機関を選んだ方がいいと思います。

    もう一つは、保証会社です。住宅ローンは、金融機関だけではなく保証会社の審査も通らなければ利用できないものがほとんどです。そして、違う銀行でも同じ保証会社が関わっている場合があります。

    そのため、銀行の名前だけを変えれば、必ず違う結果になるとは限りません。

    一度、何が原因として考えられるのかを整理する。そして、自分の条件や購入する物件に合いそうな金融機関を選ぶ。そうすることで、1社では難しかった住宅ローンが、別の金融機関では進められることがあります。

    もちろん、どこの金融機関へ申し込んでも必ず借りられるという話ではありません。収入に対して借入希望額が大きすぎる場合や、現在の借入状況、信用情報、購入する物件の状態などによっては、住宅ローンそのものが難しいこともあります。

    その場合は、借入額を下げる。自己資金を増やす。購入する物件を変える。現在の借入れを整理する。少し時間を置いてから住宅購入を考え直す。そうした方法を考えることもできます。

    審査に通らなかった直後は、その結果だけが大きく見えます。ただ、そこで決まってしまうことは、思っているより少ないと思っています。急いで次を決めなくても大丈夫です。

    本人側に原因がありそうなのか。購入する物件の事情が関係していそうなのか。それとも借入希望額の大きさなのか。まずは、そこを分けて考えるところからだと思います。

    ご自身で信用情報を確認していただく部分と、物件の側から見て考えられる部分があります。物件のほうで気になる点があれば、その整理からお手伝いできます。どの家を買うか決めきれていない段階でも構いません。

    ※この記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、金融機関や専門家にご確認ください。

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