住宅ローンの借入可能額は金利で変わる。家を探す前に確認したいこと

    週末になると住宅情報サイトを開いて、価格帯で絞り込みながら物件を眺める。この金額なら手が届きそうだ。そうやって、なんとなく予算のあたりをつけている方は多いと思います。

    その予算は、いつ、どの金利で計算したものでしょうか。

    住宅ローンの金利が、少しずつ上がっています。ニュースで見て、なんとなく気になっている。そんな方も多いのではないでしょうか。

    金利が上がると、毎月の返済額が増える。そのことは、多くの方がご存じだと思います。でも、実はそれだけではありません。

    金利が上がることで、住宅ローンで借りられる金額そのものが下がります。

    同じ年収でも、以前なら購入できた価格の住宅が、今は購入できない。そのようなことが、実際に起きています。

    住宅ローンでいくら借りられるかは、年収だけで決まるものではありません。年収に対して、住宅ローンや自動車ローンなどの年間返済額が、どの程度までなら認められるのか。その割合をもとに計算されます。

    住宅金融支援機構のフラット35では、年収400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下が、総返済負担率の基準です。

    たとえば、年収500万円の方であれば、年間返済額の上限は175万円です。500万円×35%=175万円という計算です。

    ただし、この175万円すべてを住宅ローンの返済に使えるとは限りません。自動車ローン、教育ローン、カードローン、商品の分割払いやリボ払いなどがあれば、それらの年間返済額も含めて計算されます。ほかに借入があるほど、住宅ローンに使える返済額は少なくなります。

    ここに影響してくるのが、金利です。金利が低ければ、同じ返済額でも多く借りられます。反対に、金利が上がれば、同じ年収、同じ返済額であっても、借りられる金額は下がります。

    住宅を購入する方の中には、自己資金をできるだけ残し、物件価格の全額を住宅ローンで借りたいと考える方もいます。その方法の一例として、クレディセゾンでは、フラット35と同社のフラット35PLUSを組み合わせ、物件価格の100%まで借りる方法があります。

    たとえば、4,000万円の住宅を購入する場合は、フラット35で3,600万円、フラット35PLUSで400万円。二つを合わせて4,000万円を借りる形です。

    ただし、ここで知っておいていただきたいことがあります。この二つのローンは、金利が同じではありません。

    2026年7月のフラット35は、返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合、最も多い金利が年3.14%です。一方、残り1割に利用するフラット35PLUSは、返済期間10年以上35年以下の場合、団信なしで年5.25%です。団信に加入する場合は年0.3%が加算されるため、一般団信に加入する前提では年5.55%になります。

    つまり、物件価格のすべてを、フラット35の年3.14%で借りられるわけではありません。

    「フラット35は年3.14%だから、この金額まで借りられます」

    そう説明されると、借入額のすべてが同じ金利で計算されているように聞こえるかもしれません。しかし、実際には9割部分と1割部分で金利が違います。それぞれの返済額を計算し、二つを合わせた返済額が、年収に対する返済負担率の範囲内に収まるかを確認しなければなりません。

    年収500万円、総返済負担率35%、返済期間35年、ボーナス返済なし、ほかの借入なしとして計算します。物件価格の9割を年3.14%のフラット35、残り1割を年5.55%のフラット35PLUSで借りる場合、借入可能額は約3,580万円です。

    内訳は、おおよそフラット35が約3,220万円、フラット35PLUSが約360万円。合計で約3,580万円です。

    これは、2026年7月の公表金利を使った概算です。年齢、完済時年齢、勤務先、勤続年数、ほかの借入の有無などによって、実際の借入可能額は変わります。正式な金額は、金融機関の審査を受けなければ分かりません。

    それでも、

    「年収500万円なら、4,000万円くらいは借りられるだろう」

    そう考えていた方が、実際に計算すると3,500万円台になる。その差は小さくありません。購入できる住宅の価格が400万円変われば、選べる地域も、土地や建物の広さも、築年数も変わってきます。

    また、物件価格の100%を借りられたとしても、住宅の購入に必要な費用がなくなるわけではありません。住宅を購入するときには、仲介手数料、登記費用、融資手数料、火災保険料、固定資産税などの精算金が必要です。

    これらの費用の一部は、フラット35の借入れに含められる場合があります。ただし、含めた分だけ借入総額が増え、毎月の返済額や総返済額も増えます。また、どの費用でも自由に含められるわけではなく、借入れの対象となる費用には条件があります。

    フラット35を利用する場合は、購入する住宅が、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していることも確認しなければなりません。中古住宅では、物件検査を受け、適合証明書を取得する費用が必要になる場合があります。

    物件検査の費用は購入する方の負担となり、依頼する適合証明検査機関や適合証明技術者によって金額が異なります。検査を依頼すれば、必ず適合証明書が発行されるわけでもありません。

    検査の結果、住宅金融支援機構の技術基準を満たしていなければ、そのままではフラット35を利用できない場合があります。基準を満たすために補修が必要になれば、検査や適合証明書の費用とは別に、工事費用が必要になることもあります。

    もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。適合証明書は、建物に不具合がないことや、住宅の性能が優れていることを保証するものではありません。あくまで、住宅金融支援機構が定める検査方法によって、フラット35の融資条件となる技術基準に適合しているかを確認するものです。

    「検査済みだから、建物には何も問題がない」

    という意味ではありません。

    中古住宅を購入し、リフォーム費用も一緒に借りたい場合は、物件価格だけでなく、リフォーム費用も含めて借入可能額を考える必要があります。一定の条件を満たすリフォームであれば、金利の引下げを受けられる「フラット35リノベ」という商品もあります。

    ただし、どのようなリフォームでも利用できるわけではありません。対象となる工事内容や技術基準、物件検査などの条件がありますので、利用できるかどうかは、契約や工事を進める前に確認しておく必要があります。

    「事前審査は通っています」

    そう聞くと、もう安心だと思われるかもしれません。しかし、事前審査を受けてから物件が決まるまでに時間が空けば、金利や金融機関の条件が変わることがあります。以前は希望額まで承認されていたとしても、現在の金利で計算し直すと、借りられる金額が下がっていることがあります。

    購入する物件が変わった場合や、リフォーム費用を追加した場合も、同じ審査結果になるとは限りません。

    金利が上がれば、毎月の返済額だけではなく、借りられる金額そのものが変わります。以前に計算した借入可能額や、年収だけを見て決めた購入予算が、今もそのまま使えるとは限りません。

    物件を探し始めてから予算が足りないことに気づけば、気に入った住宅を諦めなければならないこともあります。だからこそ、家を探す前に、今の金利でいくらまで借りられるのかを確認しておくことが大切です。

    そして、借りられる上限だけではなく、毎月いくらなら無理なく返していけるのか。諸費用や購入後の修繕費まで含めて考える必要があります。

    住宅ローンは、借りられる金額が多ければよいというものではありません。今の収入と金利で、どのくらいの価格の住宅なら無理なく購入できるのか。そこを整理したうえで、その予算に合う住宅を探すことが、無理のない購入につながります。

    寝屋川市や枚方市で中古住宅をお探しの方からも、物件を見に行く前に予算の組み立てから相談したい、というお話をいただくことがあります。

    私どもでは、今の金利でいくらまで借りられるのかを確認し、金融機関の選定や事前審査、物件探し、中古住宅の状態確認、リフォーム費用を含めた資金計画まで、一緒に進めています。住宅ローンの相談だけで終わるのではなく、無理なく購入できる住宅を一緒に探していきます。

    買う物件がまだ決まっていない段階でも大丈夫です。慌てて動く必要はありません。今の予算を一度確認しておくだけで、家探しの進め方は変わってきます。

    ※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、金融機関・専門家にご確認ください。

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