
相続した実家をどうするか。
この相談は、今まで本当に多く受けてきました。
売った方がいいのか。
貸した方がいいのか。
しばらく置いておいた方がいいのか。
誰かが住む可能性を残しておいた方がいいのか。
簡単に答えが出る話ではありません。
実家には、思い出があります。
親が住んでいた場所です。
子どもの頃に過ごした場所です。
親族の目も気になります。
だから、頭では分かっていても、なかなか決められない。
でも、不動産はそのまま置いておいても、止まってくれません。
建物は少しずつ傷みます。
固定資産税は毎年かかります。
庭木や雑草の管理も必要です。
近隣から連絡が入ることもあります。
「売るか貸すか」を考える前に、まず確認しておきたいことがあります。
まず、家の状態を見ておくこと
最初に見るべきなのは、家の状態です。
貸せる状態なのか。
修理すれば貸せるのか。
かなり大きな改装が必要なのか。
それとも、貸すより売却を考えた方がいいのか。
ここを見ずに、いきなり「貸したら家賃が入る」と考えるのは危険です。
空き家になって時間が経つと、建物は見た目以上に傷んでいることがあります。
雨漏り。
シロアリ。
給排水管の劣化。
お風呂やトイレの不具合。
床の沈み。
外壁や屋根の傷み。
人が住んでいる家と、空き家になった家では傷み方が違います。
人が住んでいると、窓を開ける。
水を流す。
電気を使う。
空気が動く。
でも、空き家になると、それが止まります。
一見きれいに見えても、実際に貸そうとすると修理箇所が多く出ることがあります。
だから、まずは現地を見ることです。
家の中に入る。
水回りを見る。
天井を見る。
床を見る。
外壁を見る。
庭や境界まわりを見る。
ここを飛ばして、売るか貸すかを決めることはできません。
貸す場合は、改装費と家賃のバランスを見ること
実家を貸す場合、多くの方が最初に考えるのは家賃です。
「月にいくらで貸せるのか」
これは大切です。
でも、それ以上に大切なのは、
「貸すために、いくらお金がかかるのか」
です。
例えば、月7万円で貸せるとします。
でも、貸す前に改装費が150万円かかる。
給湯器を交換する。
クロスを張り替える。
畳を替える。
水回りを直す。
ハウスクリーニングをする。
庭木を整理する。
さらに、募集費用や管理費用もかかります。
そうなると、家賃が入っても、改装費を回収するまでに時間がかかります。
しかも、入居者がすぐ決まるとは限りません。
入居後に修理が出ることもあります。
退去すれば、また次の募集が必要です。
「貸せば家賃が入る」
これは間違いではありません。
でも、貸すということは、大家になるということです。
家を残すだけではなく、管理する責任も残ります。
ここを理解しておく必要があります。
売る場合は、手放す不安と管理から離れる安心がある
一方で、売却には売却の不安があります。
親が残した家を売っていいのか。
親族から何か言われないか。
あとから必要になることはないか。
もっと高く売れたのではないか。
こういう気持ちは出てきます。
だから、売却はお金だけで決めるものではありません。
ただ、売却には大きな意味もあります。
固定資産税の支払いがなくなる。
管理の心配がなくなる。
空き家の劣化を気にしなくてよくなる。
近隣からの連絡に怯えなくてよくなる。
子ども世代に負担を残さなくて済む。
実家を売るというのは、単に不動産を手放すことではありません。
家族の中で止まっていた問題を、ひとつ整理することでもあります。
もちろん、急いで売る必要はありません。
でも、売らない理由が、
「なんとなく置いておきたい」
「まだ決められない」
「誰かが使うかもしれない」
だけになっているなら、一度きちんと整理した方がいいです。
家族の考えを確認しておくこと
実家の問題で難しいのは、不動産そのものよりも家族の考えです。
兄弟姉妹で考え方が違うことがあります。
売りたい人。
残したい人。
貸したい人。
何も決めたくない人。
親族の目を気にする人。
思い出が強くて動けない人。
それぞれの気持ちがあります。
だからこそ、いきなり結論を出そうとすると揉めます。
まずは、
この家を誰かが使う予定はあるのか。
年に何回くらい帰るのか。
管理は誰がするのか。
固定資産税は誰が払うのか。
修理費用が出たら誰が負担するのか。
将来的に子ども世代へ残すのか。
こういうことを話しておく必要があります。
「売るか貸すか」の前に、家族の考えを整理する。
ここを飛ばすと、後から話が止まります。
名義や相続手続きも確認しておくこと
売る場合も、貸す場合も、名義の確認は必要です。
相続登記が終わっているのか。
遺産分割協議は済んでいるのか。
相続人は何人いるのか。
共有名義になっているのか。
誰が契約の判断をできるのか。
ここが整理できていないと、売却も賃貸もスムーズに進みません。
特に相続人が複数いる場合、誰か一人の判断だけでは進められないことがあります。
貸すにしても、売るにしても、権利関係が整理されているかどうかは大切です。
不動産は、気持ちだけでは動きません。
名義。
権利。
書類。
相続人の同意。
このあたりを確認しておく必要があります。
「貸せる家」と「貸してはいけない家」がある
実家を貸すこと自体は、良い選択になることもあります。
立地が良い。
建物の状態が良い。
改装費がそれほどかからない。
賃貸需要がある。
管理を任せられる人がいる。
家族も残す方向で納得している。
こういう場合は、貸すことも十分考えられます。
ただし、すべての家が貸せるわけではありません。
建物の傷みが大きい。
水回りの交換が必要。
雨漏りがある。
場所的に入居者が決まりにくい。
駐車場がない。
周辺に賃貸需要が少ない。
改装費をかけても家賃で回収しにくい。
こういう場合は、無理に貸すより売却を考えた方がいいこともあります。
貸すという選択は、家を残せる反面、責任も残ります。
ここを冷静に見ることが大切です。
すぐに決めなくてもいい。ただ、放置はしない方がいい
相続した実家のことは、すぐに決められないこともあります。
それは当然です。
思い出もあります。
親族との関係もあります。
気持ちの整理も必要です。
だから、すぐに売る。
すぐに貸す。
そう決めなくてもいいと思います。
ただし、何もしないまま放置するのは避けた方がいいです。
放置している間にも、建物は傷みます。
税金はかかります。
草木は伸びます。
近隣との問題が出ることもあります。
家族の話し合いも、時間が経つほど難しくなることがあります。
大切なのは、今すぐ結論を出すことではありません。
今の状態を知ることです。
家の状態。
名義の状態。
家族の考え。
売った場合の金額。
貸した場合の収支。
残した場合の管理負担。
これらを一度整理するだけでも、見え方は変わります。
売るか貸すかで迷ったときは、まず整理から
相続した実家をどうするか。
これは、売るか貸すかだけの問題ではありません。
家族の気持ち。
親が残したものへの思い。
お金のこと。
管理のこと。
将来、誰に負担を残すのか。
いろいろなことが重なっています。
だから私は、いきなり結論を出すよりも、まず整理することが大切だと思っています。
売った方がいい家もあります。
貸した方がいい家もあります。
今は動かさず、少し様子を見た方がいい家もあります。
ただ、それは現地を見て、話を聞いて、数字を出してみないと分かりません。
「売るか貸すか」で迷っている方は、まず今の状態を確認してみてください。
そして、家族だけで判断が難しいときは、早い段階で相談してください。
早く売るためではありません。
無理に貸すためでもありません。
後から後悔しないために、今できる整理をしておく。
相続した実家の問題は、そこから始めるのが一番いいと思います。
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