中古マンションを見に行くとき、私が部屋ごとに必ず確かめるところがあります。壁にあるエアコンの穴です。
先日のマンションは3LDKでした。ところが、3つある部屋のうち2部屋に、エアコンを設置するための穴がありませんでした。築年数の古いマンションでは、今のマンションではあまり見かけない問題が出てきます。エアコンは、その一つです。
「それなら、新しく穴を開ければいい」
一戸建てなら、それで済むこともあります。しかし、マンションのコンクリート部分は建物の躯体です。勝手に穴を開けることはできません。
では、エアコンを付けられない部屋は、そのままにするしかないのでしょうか。
そこで私は、新しく穴を開けない方法を考えます。まず、間取りそのものから考え直します。
変更前は、玄関側の洋室、中央の和室、バルコニー側の和室とLDK、という並びの3LDKでした。
一つ目に考えたのは、3LDKを2LDKにする間取りです。バルコニー側の和室をリビングに取り込み、12帖だったLDKを18帖に広げます。リビングは明るい方が人気があります。バルコニーに面した明るさを生かしながら、リビングそのものも広くする。部屋数は一つ減りますが、明るく広いLDKをつくることができます。
ただ、すべてのマンションを2LDKにすればいいわけではありません。家族で住むことを考えると、3LDKを探している方もいます。
そこで、もう一つ考えたのが、3LDKのまま部屋の位置を変える方法です。元の間取りでは、バルコニー側に和室がありました。その部屋の位置を変えて、洋室3室を同じ側に並べます。これなら3LDKという部屋数を残しながら、各部屋にエアコンを設置できるようにすることができます。リビングはこれまでと同じようにバルコニーに接するので、明るさも確保できます。
ただ、間取りを変えれば、それだけでエアコンが付くわけではありません。
問題は配管です。
エアコンを設置するには、室内機と室外機をつなぐ配管と、エアコンから出る水を排水するためのドレンが必要になります。躯体に新しい穴を開けられないのであれば、既存の穴まで配管をどうやって持っていくのかを考えなければなりません。
今回のような場合には、室内側に新しく壁の下地をつくり、壁を少しふかして、その中を配管スペースとして使う方法があります。部屋はその分だけ少し狭くなります。しかし、配管を壁の中に通してバルコニー側まで持っていき、既存の穴を利用すれば、新しく躯体に穴を開けなくてもエアコンを設置できるようになります。
ほかにも、マルチエアコンを利用する方法があります。ただ、マルチエアコンは費用が高くなることがあります。そこで、物件の間取りや配管経路、工事費などを見ながら、どの方法がいいのかを考えます。
そして、配管を壁の中に隠すのであれば、もう一つ考えておきたいことがあります。
エアコンから出る水です。
エアコンを使うと結露水が出ます。その水を外へ排水するのがドレンです。
壁の中へ長い距離を通すのであれば、私は一般的な蛇腹状のドレンホースではなく、塩ビ管を使う方法を考えます。壁の中に隠したドレンホースが経年劣化して不具合を起こした場合、簡単に交換できないからです。せっかく仕上げた壁を壊して修理することになれば、工事も大きくなります。
完成すれば見えなくなるところほど、何年か先のことまで考えておきたいと思っています。
もちろん、塩ビ管にすればそれだけで終わりではありません。水を自然に流すためには、勾配を取ることが重要です。配管する距離や梁の位置などによって、どうしても必要な勾配を確保しにくい場合には、ポンプを使って排水する方法も考えられます。
こうした工事は、図面だけを見て、「このマンションならできます」とは言い切れません。
同じような3LDKでも、エアコン用の穴の位置、梁の位置、部屋の配置、バルコニーまでの距離などが違います。配管を通せる場所も違います。ですから工事の内容は、実際に物件の状態を見てから考えることが大切です。
私はこれまでにも、寝屋川市周辺の築年数の古いマンションで、このような方法を使ってエアコンを設置できるようにしたことがあります。
古いマンションには、今の生活には少し合わなくなっているところがあります。
「この部屋にはエアコンが付かない」「この間取りは少し使いにくい」
そんなところがあっても、それだけで諦めなくてもいい場合があります。
エアコンが付かないなら、なぜ付かないのか。躯体に穴を開けられないなら、別のところへ配管を通せないのか。今の間取りでは使いにくいなら、部屋の位置を変えられないのか。理由を一つずつたどっていくと、別の方法が見つかることがあります。
3LDKを2LDKにして、明るく広いリビングをつくる方法もあります。3LDKの部屋数を残したまま、部屋の位置を変える方法もあります。
リフォームやリノベーションは、古くなったキッチンや浴室を新品に交換して、クロスや床をきれいにするだけではありません。今あるマンションの不便なところを、これから住む人の生活に合わせてどう変えていくのか。それを考えられるのも、この工事の良いところだと思います。
もちろん、どんなマンションでも今回と同じ工事ができるわけではありません。建物の構造や間取り、配管経路などによって、できることとできないことがあります。図面の上ではうまくいきそうに見えても、現地で梁や既存の穴の位置を確かめると、方法を変えることになる場合もあります。
だからこそ、「この部屋にエアコンは付けられるのだろうか」「この間取りは変えられるのだろうか」「もう少しリビングを広くできないだろうか」と気になったときは、図面と現地の両方を見ながら確かめるのが確実です。
物件を決めていない段階でも大丈夫です。間取りを変えられるかどうかが分かるだけで、候補に入れられる物件が増えることもあります。気になっているマンションがあれば、その状態を見ながら一緒に考えることもできます。
