不動産の売却相談。売る理由を整理してから進めます

    ご相談に来られた方が、椅子に座ってすぐ「まだ売ると決めたわけではないんです」とおっしゃることがあります。少し申し訳なさそうに言われる方も多いです。でも私は、その一言を聞くと、かえって安心します。

    不動産の相談を受けたとき、私が最初にお聞きするのは金額ではありません。

    なぜ売ろうと考えたのか、です。

    住み替えのためなのか。相続で引き継いだものなのか。ローンの問題があるのか。人間関係の事情なのか。それとも、単純に現金化したいのか。理由によって、進め方は全く変わります。同じ家でも、入り口が違えば、その先の道筋も違ってきます。

    ただ実際は、その理由がまだご自身の中で整理できていない状態で相談に来られる方も多いです。何となく不安。何となく、動いた方がいい気がする。そういう段階です。

    責められることでは、ありません。家のことは、そもそも何度も経験するものではないからです。

    ただ、その段階で焦って動くと、後からズレることがあります。本当は売らなくてもよかった。もっと条件の良い方法があった。家族と話がまとまっていなかった。税金やローンの確認が足りなかった。こういうことが、後になって出てきます。

    だから最初は、売るかどうかより先に、状況を整理します。今どういう状態なのか。何に困っているのか。どこまで決まっているのか。

    ここを確認しないまま進めると、途中で止まることが多いです。実際、契約直前で話が崩れる案件も、最初の整理不足が原因になっていることがあります。

    特に多いのは、家族の中で方向性が揃っていないケースです。ご本人は売るつもりでも、お子さんは反対している。どちらが悪いという話ではありません。住み慣れた家を手放したくない気持ちにも、早いうちに整理しておきたい気持ちにも、それぞれ理由があります。

    あるいは、とりあえず査定だけ、のつもりだったのに、周囲がどんどん話を進めてしまう。こういうズレは、小さいうちは気になりませんが、後で大きくなります。

    なので私は、相談の段階では急がせません。

    今すぐ動くべきなのか。少し様子を見るべきなのか。場合によっては、今は売らない方がいいと思います、とお伝えすることもあります。

    寝屋川の事務所にも、まだ何も決まっていない状態で来られる方がよくおられます。その日は状況をお聞きして終わり、ということも珍しくありません。

    もちろん、売却した方が良いケースもあります。ただ、それは状況を整理した上で判断する話です。

    不動産は、金額も大きい。そして、生活そのものに関わります。だからこそ、勢いだけで決めない方がいいと思っています。

    相談に来られる方の中には、とにかく早く契約まで進められると思っていた、という方もいます。でも実際は逆です。最初の段階でしっかり整理した方が、結果的にスムーズに進みます。

    急いで進めた案件ほど、途中で止まりやすい。これは現場で何度も見てきました。

    不動産は、売ることが目的ではありません。その後の生活まで含めて、どう進めるか。そこが一番大事だと思っています。

    売るかどうかは、話を整理してから決めても遅くありません。まだ決めていない段階でも大丈夫です。売る前提でお話を進めることはありませんので、頭の中を整理する場として使っていただければと思います。

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