空き家になるまでには過程がある。親が元気なうちに家族で話しておきたいこと

    雨戸が閉まったままの家。郵便物がいっぱいになったポスト。伸びたままの庭の草。空き家の前を通ると、そんな光景を目にすることがあります。

    でも、その家は、ある日突然そうなったわけではありません。少しずつ人が住めなくなっていって、その結果として空き家になっていく。現場を見ていると、そう感じることが多いです。

    最初は、普通に生活しています。掃除もしている。買い物も行ける。近所付き合いもある。

    でも、年齢を重ねると、少しずつ変わっていきます。膝が痛い。腰が痛い。立ったり座ったりがしんどい。階段を上がるのが嫌になる。日々、動くこと自体が億劫になっていきます。

    最初は「今日はしんどいからやめておこう」だったものが、少しずつ増えていく。庭の手入れをしなくなる。掃除の回数が減る。2階へ上がらなくなる。使う部屋が減っていく。それでも、まだ生活は続いています。

    ヘルパーさんが来て掃除をしてくれている間は、家の中にも人の出入りがあります。でも、そんなある日、体調を崩して入院する。すると、家の流れが止まります。

    ヘルパーさんも来なくなる。郵便物が溜まる。雨戸が閉まったままになる。誰も出入りしなくなる。そうやって、家が止まっていきます。そして、一人で暮らすことが難しくなり、老人ホームへ入ることになる。

    もちろん、子供さんたちもいます。ただ、みんな日々忙しい。仕事。子育て。自分たちの生活。最初は気にしていても、少しずつ家へ行く回数が減っていきます。すると、家だけが残ります。

    これは、誰かが悪いという話ではありません。責められることでは、ありません。

    空き家というと、建物の問題として語られることが多いですが、実際は、人が暮らせなくなっていく過程の結果として空き家になっていることも多いと思います。

    だから私は、元気なうちに、この先どうするのかを家族の間で話せる時間を持つことは、大事だと思っています。

    売る、売らないではなく、このまま住めるのか。誰が管理するのか。将来どうするのか。早い目に相談できるだけでも、後から大きく違ってくることがあります。

    実際、相談へ来られる方の中にも、もっと早く話しておけばよかった、と言われる方もいます。

    親が元気な時は、まだ先の話だと思っています。でも、体調を崩してからは、一気に話が進むこともある。だから、元気で動ける時期に、少しだけ話しておく。それだけで、選べる方法が変わってきます。

    話す相手は、家族や親族だけとは限りません。友達。近所の方。同じようなことで悩んでいる人も、周りにはいるかもしれません。

    自分の親のこと、自分の住まいのこと、将来どうするか。同じように考えている人は多いと思います。だから、いろんな方の話を聞いておく。経験を聞いておく。それも、後々役立つことにつながっていくと思っています。

    空き家は、建物だけの問題ではなく、人の暮らしや、家族の時間とも繋がっている。現場を見ていると、そう感じることがあります。

    まだ何も決まっていない段階でも大丈夫です。今の家の状態、これからの管理、将来の選択肢。誰かに話してみるだけでも、頭の中が少し整理できると思います。慌てなくて大丈夫ですので、気になったときにお声がけください。

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