毎日、何度も触っている場所なのに、替えることはあまり考えない。玄関ドアは、そういう場所だと思います。
鍵の回りが少し重い。塗装があせてきた。デザインも今の家と比べると古く見える。気になってはいても、そのままにしている方は多いのではないでしょうか。
理由の一つは、工事の大きさだと思います。「玄関を取り替えるとなると、壁まで壊す大がかりな工事になるのでは」と思えば、後回しになるのは当然です。
でも、今ある玄関まわりを大きく壊さずに、玄関ドアを新しくする方法があります。カバー工法です。今回の改装工事でも、この方法で玄関ドアを交換します。
カバー工法は、今ある玄関ドアを取り外し、既存の玄関枠は残します。そして、その既存枠の上から新しい枠をかぶせて、新しい玄関ドアを取り付けます。壁や床を壊して、玄関枠そのものを撤去する必要がありません。
従来の交換方法では、既存の枠を撤去するために、玄関まわりの壁などを壊さなければならないことがあります。そうなると、新しいドアを取り付けるだけでは終わりません。
壁を補修したり、内装を直したり、場合によっては外壁側の補修まで必要になります。玄関ドア一枚を替えるだけのつもりが、かなり大きな工事になることがあります。カバー工法では、今ある枠を利用するので、こうした工事を減らすことができます。
YKK APやLIXILなどからも、カバー工法を使ったリフォーム用玄関ドアが販売されています。現場の状況にもよりますが、メーカーでは1日程度で施工できる工法として紹介されています。
朝まで使っていた玄関ドアが、その日のうちに新しい玄関ドアになる。
壁や床を大きく壊さないので、工事中の騒音や粉じんも抑えやすくなります。住みながら玄関ドアを交換できるのも、この工法のメリットです。
別の記事で、今あるフローリングを剥がさず、その上から新しい床材を貼る「上貼り」について書きました。床も玄関も、古いものを何でも全部撤去してから新しくする必要があるわけではありません。残せるものを利用して、新しくする方法があります。
そして玄関ドアを新しくする目的は、見た目をきれいにすることだけではありません。
古い玄関ドアと比べて、断熱性能を高めた商品もあります。玄関は外と家の中を直接つなぐ場所です。冬になると玄関まわりが冷える。夏になると外からの熱を感じる。そんな住宅では、断熱性能のある玄関ドアへ交換することで、玄関まわりの寒さや暑さを軽減できる場合があります。
鍵も変わっています。従来の鍵だけではなく、リモコンやスマートフォンなどで施錠・解錠できる商品もあります。玄関ドアを替えることで、見た目だけではなく、断熱性、防犯性、使いやすさまで変えることができます。
ただし、カバー工法にも確認しておきたいことがあります。
今ある枠の上から新しい枠を取り付けるため、玄関の開口部分は今より少し小さくなる場合があります。
普段の出入りでは気にならなくても、車椅子やベビーカーを使う場合や、大きな家具や家電を搬入するときには、有効開口幅を事前に確認しておいた方がいいと思います。
開き戸を引き戸にしたい、という場合もあります。商品によっては、玄関ドアから引き戸へ変更できるものもあります。ただし、建物の形や玄関まわりのスペースによって、希望どおり変更できるとは限りません。現地を確認してから判断することになります。
カバー工法は便利ですが、すべての玄関に使えるわけではありません。既存の玄関枠の状態や、玄関まわりの形状によっては、カバー工法では対応できないことがあります。
既存部分に大きな傷みがあるのであれば、その部分を残したまま新しいものをかぶせても、根本的な解決にはなりません。
床の上貼りと同じです。上から新しくすれば、下にある問題まで直るわけではありません。今あるものを残せる状態なのか。そこを確認してから工事方法を決めることが大切です。
また、マンションの場合は、もう一つ確認があります。
玄関ドアは、それぞれの住戸についているので、自分の所有物のように思うかもしれません。しかし、マンションでは玄関ドアが共用部分として扱われていることがあります。
そのため、自分の判断だけで交換するのではなく、管理規約を確認し、必要であれば管理組合の承認を受けてから工事を進めます。
今回の改装工事でも、床や玄関ドアなど、一つずつ「全部取り除く必要があるのか」を考えながら工事方法を決めています。
古いものを全部壊して、新しくする。それも一つの方法です。でも、使える部分は残して、新しいものを組み合わせる。そういう改装方法もあります。
家を出るときに最後に触り、帰ってきたときに最初に触る。玄関ドアは、そういう場所です。古くなったけれど大がかりだから、とそのままにしているのであれば、カバー工法という方法も一度考えてみてもいいと思います。
なお、改装工事は、お付き合いのある工務店と一緒に対応しています。そのため、あまり遠方の工事はお受けしにくいことがあります。この建物をどう直して使うか、売るならどうするかといったご相談は、場所を問わずお聞きしています。
玄関まわりを大きく壊さなくても、玄関ドアは新品にできます。まだ工事をするかどうか決めていない段階でも大丈夫です。気になっているところがあれば、お聞かせください。
