中古マンションや中古住宅を見に行くと、床に目が行く方は多いと思います。色があせている。傷が増えている。家具を置いていた跡が残っている。
そういう床を見て、「買ったら全部張り替えることになるな」と考えるのは、自然なことだと思います。
ただ、床を新しくする方法は、張り替えだけではありません。床の状態によっては、今あるフローリングを剥がさず、その上から新しい床材を貼る方法があります。今進めている改装工事でも、この「上貼り」という方法を使います。
使うのは、上貼り用に作られた薄型のリフォームフロアです。厚さは2mm前後。一般的なフローリングと比べると、かなり薄い床材です。既存のフローリングを剥がさず、その上から施工できます。
しかも裏側は粘着加工されているので、はく離紙を剥がして貼っていく施工方法です。製品によっては、カッターで切断することもできます。
既存の床を撤去して張り替える工事と比べると、床をめくる作業がありません。そのため、工事中の騒音や粉じんを抑えやすいという特徴があります。
マンションの改装工事では、上下左右に住んでいる方への音も気になります。こういう床材があることを知っておくと、改装方法の選択肢が増えます。
今回、もう一つ重要だったのが床暖房です。
床暖房が入っている床の場合、「上から別の床材を貼ってしまったら、床暖房が使えなくなるのでは」と思うかもしれません。
上貼り用のリフォームフロアの中には、床暖房に対応した製品もあります。メーカーによって、床暖房用フロアの上に施工できるとしているものがあります(2026年9月時点の製品情報です)。
つまり、床暖房があるから必ず既存のフローリングを剥がさなければならない、というわけではありません。床暖房を残したまま、床の表面を新しくする方法もあります。今回、この方法を選んだ理由の一つです。
ただし、薄いからどんな床にも貼れる、というわけではありません。
現在の床が波打っていたり、反っていたり、大きな段差があったりする場合は、そのまま上から貼れないことがあります。既存の床そのものが傷んでいる場合も同じです。上から新しい床材を貼っても、下にある床の問題まで直るわけではありません。
また、薄いとはいえ床はその分だけ高くなります。ドアの下に余裕があるのか、他の部屋との境目に段差ができないか、見切りをどう納めるのか。施工前に確認しておく必要があります。
メーカーの施工条件にも、不陸や反り、段差、床の含水率などについて基準があります。上から貼れば簡単、というだけで決めるのではなく、今の床が上貼りできる状態なのかを先に見ることが大切です。
リフォームやリノベーションというと、古いものを撤去して、新しいものに交換する。そんなイメージを持たれる方も多いと思います。
もちろん、傷みがひどければ撤去して直した方がいい場合もあります。でも、まだ使えるものまで全部取り除く必要があるとは限りません。今回のフローリングのように、今あるものを残しながら、その上から仕上げる方法もあります。
全部壊して新しくする方法。使えるものを残して改装する方法。どちらが正しいということではありません。建物の状態や予算、これからどのように使うのかを見ながら決めていけばいいと思います。
工事の方法が変われば、作業の内容も変わります。ですから、金額だけを先に並べて比べるよりも、今の床がどの方法を選べる状態なのかを見てもらう。そこから始めた方が、話が進みやすいと思います。
床をどうするかは、住んでからの見え方にも、予算にも関わってきます。すぐに決められなくても大丈夫です。
なお、改装工事は、お付き合いのある工務店と一緒に対応しています。そのため、あまり遠方の工事はお受けしにくいことがあります。建物をこれからどうするか、直して使うか売るかといったご相談は、場所を問わずお聞きしています。
この床をどうしよう、床暖房は残したい。そんなふうに迷ったときは、張り替える以外の方法も一度考えてみてください。判断に迷うところがあれば、気軽にご相談ください。
