遠方の不動産を売るとき、不動産会社の近さより先に確認したいこと

    相続した実家や土地が、自分の住まいから遠く離れている。車で日帰りできる距離ではなく、新幹線や飛行機を使わないと行けない。そんな不動産を売ろうとしたとき、手続きの前に手が止まることがあります。

    売り方を考える前に、決めなければならないことがあるからです。

    誰に頼むのか。

    普通に考えれば、その家がある地域の不動産会社を探すと思います。地元の不動産会社なら地域のことを知っている。土地の相場も分かっている。その地域で家や土地を探しているお客様を持っているかもしれません。

    これは大きな強みです。私も、地域をよく知っている不動産会社へ依頼することにはメリットがあると思っています。

    ただ、地方の不動産を売るとき、「物件の近くにある不動産会社だから」という理由だけで決めてしまっていいのでしょうか。私は、もう一つ見てほしいことがあると思っています。

    その不動産を、誰が担当してくれるのか。

    不動産を売るときは、査定をしてもらって終わりではありません。現地を確認する。役所で調査する。道路を調べる。登記の内容を確認する。売却方法を考える。販売を始めれば、問い合わせに対応する。ほかの不動産会社から連絡が入ることもあります。

    購入希望者が現れれば、価格や引渡しなどの条件を調整します。契約になれば、重要事項説明書や売買契約書を作る。司法書士や金融機関とも連絡を取る。そして最後に代金を受け取り、所有権を買主へ移すところまで進めます。

    数か月で終わることもあれば、なかなか買主が見つからず長くかかることもあります。その間、売主は担当者と何度も連絡を取ることになります。

    だから私は、不動産会社を選ぶことと同じくらい、担当する人を選ぶことも大切だと思っています。

    例えば、物件のすぐ近くにある不動産会社へ査定をお願いしたとします。査定価格は出してくれた。でも、「なぜ、この価格なのですか」と聞いても、よく分からない。販売を始めたあとも、問い合わせがあったのか、何人が見に来たのか、なかなか連絡がない。こちらから連絡しないと状況が分からない。

    自分で簡単に現地へ行けない売主にとって、これは不安だと思います。

    反対に、物件から離れた場所にある不動産会社でも、必要な調査をきちんとする。現地にも行く。売却活動の状況も報告してくれる。分からないことを聞けば説明してくれる。何か問題が見つかれば、「こういう問題があります。方法としてはこれとこれがあります」と話してくれる。

    それなら、距離が離れていても安心して任せられることがあります。

    ただし、ここで勘違いしてほしくないことがあります。「信用できる人なら、どれだけ遠くても任せればいい」という話ではありません。

    地方の不動産を売る場合、その地域の情報はとても重要です。同じ市内でも、場所が少し違うだけで需要が変わることがあります。昔からの住宅地なのか、新しく開発された地域なのか。地元の人が買うことが多いのか。県外から購入する人がいる地域なのか。

    地域によって、買う人も売り方も変わります。私が普段仕事をしている寝屋川市や枚方市でも、同じ市内で場所が変われば、物件の動き方は違います。

    その地域を知らない不動産会社が、現地にも十分行かず、インターネットで調べた情報だけで査定して販売する。それでは、遠方の不動産を安心して任せられるとは思いません。

    では、信頼している不動産会社が物件から離れている場合はどうするのか。一つの方法は、その地域の不動産会社と協力して販売することです。

    不動産会社同士にはネットワークがあります。売却を依頼された不動産会社が、自分の会社だけで買主を見つけなければならないわけではありません。その地域の不動産会社へ物件を紹介し、「この条件に合うお客様はいませんか」と協力をお願いすることもできます。

    地元の情報が必要なら、地元の不動産会社に聞く。専門的な問題があれば、司法書士や土地家屋調査士などに確認する。売主が遠方に住んでいるのであれば、できるだけ何度も現地へ来てもらわなくても進められる方法を考える。

    私は、そうやって必要な人と協力しながら、売却全体を動かしてくれる担当者なのかを見ることも大切だと思っています。

    地方の不動産を売却するとき、もう一つ気を付けたいのが査定価格です。

    例えば、3社へ査定を依頼したとします。A社は500万円。B社は700万円。C社は800万円。こうなると、800万円と言ってくれた会社へ頼みたくなるかもしれません。

    でも、査定価格は、買主がその金額で買ってくれることを約束するものではありません。大切なのは、なぜ、その価格なのかです。

    どんな物件と比較したのか。土地や建物の状態は確認したのか。道路はどうなっているのか。その地域では、どんな人が買うと考えているのか。そして、800万円で売り出して問い合わせがなければ、次にどうするのか。そこまで説明してくれる担当者なのかを見た方がいいと思います。

    では結局、地方にある不動産は誰に頼めばいいのでしょうか。私は、こう考えています。

    すでに信頼して相談できる不動産会社や担当者がいるのであれば、まずその人に相談してみてください。不動産が遠方にあるからという理由だけで、知らない不動産会社を一から探す必要はないと思います。

    ただし、何でも任せていいという意味ではありません。「この地域の物件でも対応できますか」「現地には誰が行くのですか」「役所や道路などの調査はどうしますか」「その地域の不動産会社とも協力して販売できますか」「販売を始めたあとの状況は、どのように報告してもらえますか」。このあたりは確認してみてください。

    遠方でも実際に現地へ行き、必要な調査を行い、地元の不動産会社とも協力して販売してくれるのであれば、以前から信頼している人に任せるという選択肢があります。

    反対に、「遠いので現地には行きません」「査定はインターネットの情報だけで出します」「その地域のことは分かりません」ということであれば、いくら知っている担当者でも、本当にその人へ任せていいのか考えた方がいいと思います。

    そして、信頼して相談できる不動産会社や担当者がいないのであれば、物件がある地域の不動産会社を2〜3社探して、話を聞いてみる。私は、この順番が分かりやすいと思います。

    そのときも、査定価格だけで決めないでください。聞いてほしいのは、「なぜ、この査定価格なのですか」「この物件の売りにくいところはありますか」「どんな人が買うと思いますか」「どのように販売しますか」「ほかの不動産会社にも紹介してもらえますか」ということです。

    良いことだけではなく、売りにくいところも説明してくれるか。分からないことを、その場しのぎで答えずに調べてくれるか。こちらから聞かなければ何も報告してくれない人ではないか。そして、こちらの話をきちんと聞いてくれるか。私は、そこを見た方がいいと思います。

    地方の不動産だからといって、最初から地元の不動産会社だけに絞る必要はないと思います。信頼して任せられる担当者がいるなら、まずその人に相談する。そのうえで、遠方でも現地へ行ってくれるのか。必要な調査をしてくれるのか。地元の不動産会社とも協力して販売してくれるのかを確認する。

    そこまで対応できないのであれば、物件がある地域の不動産会社を2〜3社探して話を聞く。私なら、この順番で考えます。

    そして最後は、査定価格の高さだけではなく、調査の仕方、販売方法、報告の仕方、そして担当者が信用できるかで決める。

    自分が簡単に現地へ行けない不動産だからこそ、どこの会社が近いかだけではなく、自分の代わりに誰が動いてくれるのかを見てほしいと思います。

    現地へ行く。調べる。問題があれば報告する。地元の不動産会社とも話をする。そして、売れるまで途中で放っておかない。そう動いてくれる人であれば、距離は最初に思うほど大きな問題ではなくなります。

    まだ売ると決めていない段階でも大丈夫です。誰に頼むかを考えるところから始めて、何も問題はありません。

    当社でも、大阪から離れた地域にある不動産のご相談をお受けしています。場所を問わず、査定や売却のご相談はお聞きしていますので、まずは今の状況を教えていただければ、どこから調べ始めればいいのかをお話しできると思います。

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