草刈りを頼んだときの領収書。固定資産税の納付書。見に行ったときのガソリン代。空き家に使ったお金は、別々の時期に少しずつ出ていくので、1年でいくらになっているのかが分かりにくいものです。
誰も住んでいない家。使っていないのだから、それほどお金はかからないと思っている方もいるかもしれません。
でも、空き家は住んでいなくてもお金がかかります。固定資産税は毎年かかります。庭があれば草は伸び、木の枝も大きくなります。遠方にある家なら、様子を見に行くだけでも交通費がかかります。
一つひとつを見ると、それほど大きな金額ではないように感じるかもしれません。ところが、1年間で合計してみると、思っていたより大きな数字になっていることがあります。
たとえば、こういう家があったとします。固定資産税などで年間10万円。草刈りや庭木の剪定を業者へ頼んで年間5万円。火災保険、最低限残している電気や水道、家を見に行くための交通費などを合わせて年間5万円。これで年間20万円です。
もちろん、これは一例です。固定資産税も草刈りの費用も家によって違いますので、どの家でもこの金額になるという話ではありません。庭が広かったり、遠方にある家だったり、空き家管理を業者へ依頼したりすれば、費用はもっと増えます。マンションなら、誰も住んでいなくても管理費や修繕積立金の支払いは続きます。反対に、これより少なくおさまる家もあります。
それでも、一度計算してみてほしいと思います。
この空き家に、1年間でいくら使っているだろう。
固定資産税だけを見ていると、それほど負担を感じないかもしれません。でも、草刈り、剪定、保険、光熱費、交通費、修繕費まで入れていくと、思っていた以上の金額になることがあります。
そして、空き家の費用で気をつけたいのは、毎年決まって出ていくお金だけではありません。
久しぶりに見に行ったら、雨漏りしていた。台風で屋根の一部が傷んでいた。給湯器や配管から水が漏れていた。庭木の枝が隣の家まで伸びていた。
誰かが住んでいれば早く気付けることでも、空き家では発見が遅くなることがあります。
国も、空き家は定期的に点検し、通気や換気、通水、清掃などを行うことが必要だという指針を示しています。国土交通省の空き家対策のページには、所有者向けの「空き家管理チェックリスト」も用意されています。
つまり、空き家を持ち続けるのであれば、何もしなくていいわけではありません。お金を払いながら、管理も続ける必要があります。
仮に年間20万円かかっている空き家であれば、5年間で100万円です。年間30万円なら150万円。10年なら200万円、300万円という計算になります。これも、あくまで計算の例です。ご自宅の金額は、実際に払っているもので計算してみてください。
その5年間、家を使う予定があるのであれば、それでもいいと思います。数年後に自分が住む。子どもが住む。将来、何かに使う予定がある。そういう理由があるのであれば、維持費を払って残しておくことにも意味があります。
でも、とりあえず置いている。売るのも面倒だからそのまま。親から相続した家だから何となく手放せない。そういう理由だけで5年、10年と持ち続けるのであれば、一度立ち止まって考えてみてもいいと思います。
手放せない気持ちは、責められることではありません。ただ、金額を知らないまま時間が過ぎていくのは、少しもったいないと思います。
10年後の建物が、今より良い状態になっていることはありません。使わずに置いている間にも建物は年を取ります。傷みが進んでからでは、売ることも貸すことも難しくなることがあります。
ここで、私は空き家はすぐ売った方がいいと言いたいわけではありません。残すという選択肢もあります。貸すという方法もあります。将来自分たちで使うのであれば、きちんと管理しながら持っておけばいいと思います。
ただ、何となく持ち続けるのと、年間これだけ費用がかかる、それでも残しておこうと分かったうえで持ち続けるのとでは違います。
計算してみて、その金額を見ても残しておきたいのであれば、それも一つの判断です。反対に、誰も使う予定がない家にこれだけ払っていたのか、と気付けば、貸せないか、売れないか、別の使い方ができないかを考えるきっかけになります。
空き家のことを考えると、どうしても、今いくらで売れるのか、という話になりがちです。
でも、その前に確認してほしい数字があります。この家を持ち続けるために、毎年いくら払っているのか、です。
固定資産税。保険。草刈り。庭木の剪定。光熱費。交通費。管理を頼んでいるなら管理費。そして、これまでにかかった修繕費。一度、全部書き出してみてください。
売るか。貸すか。残すか。その判断をする前に、まず持ち続ける費用を知る。分かったうえで残すのなら、それでいいと思います。
私の事務所は大阪の寝屋川市にあります。ご相談の中には、遠方にある空き家についてのお話もあります。
空き家をどうするか迷っているのであれば、まず今年1年間で、その家にいくら使っているのかを書き出してみるところから始めてはいかがでしょうか。
計算してみて、思っていたより大きな金額になっていたら、そのときに次を考えれば間に合います。売るのか、貸すのか、それでも残すのか。その家がどのくらいの値段になりそうなのか、貸せる家なのかも含めて、一緒に整理します。まだ何も決めていない段階でも大丈夫です。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。記事に出てくる金額はあくまで一例です。税額や費用の目安、制度の詳細や個別の取り扱いについては、自治体の担当窓口や専門家にご確認ください。
