誰も住んでいない実家。持ち続けている間にかかるお金のこと

    「そのうち、どうするか決めよう」。兄弟でそう話したのは、もう何年前だったでしょうか。

    あれから、実家は誰も住まないままです。話し合ったきり、答えが出ないまま、時間だけが過ぎていく。そういう方は、少なくありません。

    片づけようとしても、親の荷物の前で手が止まって、また閉めてしまう。気持ちが追いつかないうちに、月日が経っていきます。どうにかしなきゃと思いながら、何年も過ぎてしまう。これは、よくあることです。

    責められることでは、ありません。実家を片づけるというのは、それくらい重たいことです。

    ただ、その間にも、静かに続いていることがあります。その家を持ち続けるための費用です。

    誰も住んでいなくても、固定資産税は毎年かかります。誰かが使っているかどうかにかかわらず、その家と土地を持っている限り、毎年の負担は続きます。

    そのうえ、手入れが行き届かず「特定空家」に指定されると、土地にかかる税の軽減が外れて、負担が重くなることもあります。人が住まなくなった家ほど、傷みや草に気づきにくくなります。その結果として、税の負担まで変わってくることがあるのです。

    さらに、頭の片隅に置いておいてほしい動きが、一つあります。

    使われていない空き家に対して、市が独自に税をかけようという動きが出てきました。すでに導入を決めた市もありますし、条例案が議会に出されている市もあります。私の会社がある大阪の寝屋川市も、そのひとつです。この動きについては、別の記事で詳しく書いていますので、気になる方はそちらをご覧いただければと思います。

    一つの市だけの話というより、使われていない家を持ち続けることに、これから少しずつコストがかかっていく。そういう流れになってきました。

    こう聞くと、急いで売らないと、と不安になるかもしれません。でも、慌てなくて大丈夫です。

    古くて傷んでいる家でも、売れます。古家付きの土地として出すこともできますし、現状のまま中古住宅として売り出すこともできます。解体して更地にしないと、修繕しないと売れない、というわけではありません。

    ここは誤解されやすいところです。まず何百万円もかけて解体や修繕をしなければ話が始まらない、と思い込んで動けなくなっている方は、少なくありません。

    それでも、今日明日で決める必要はありません。

    まずは、自分の家がいまどういう状態にあるのかを知ること。いくらで売れそうか、貸せるのか、税金はこれからどう変わるのか。そこが見えてくるだけで、気持ちはずいぶん軽くなります。

    一人で抱え込まなくて大丈夫です。同じように実家のことで悩んでこられた方を、これまで何人も見てきました。まずは、不動産や相続にくわしい人に、いまの状況を話してみる。それだけでも、ずいぶん見通しが立ちます。動くかどうかは、それから決めればいいんです。

    売る、貸す、そのまま持ち続ける。どれを選ぶにしても、材料がないままでは決められません。

    まだ何も決めていない段階でも大丈夫です。いまの状態を一度整理してみる。そこから始めてみてください。

    ※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、自治体の担当窓口にご確認ください。

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