
物件情報を見ていると、築年数は古いのに、写真の中の室内だけが新しい住宅があります。壁紙も床も真新しく、キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレも交換されている。説明のところには「リフォーム済み」とだけ書かれている。
こういう住宅を見ると、これなら手を入れずに住めそうだ、と感じます。きれいな方に心が動くのは、自然なことです。
ただ、この「リフォーム済み」の住宅には、二つの成り立ちがあります。
このような住宅の中には、不動産会社が中古住宅を買い取り、リフォームしてから販売しているものがあります。これを、買取再販住宅といいます。
一方で、個人が住んでいた住宅を、そのまま売却している中古住宅もあります。
同じ中古住宅でも、売主が不動産会社なのか、個人なのかによって、購入後の扱いや契約の条件が変わります。
まず分かりやすい違いは、住宅の状態です。買取再販住宅は、不動産会社が買い取ったあとにリフォームして販売していることが多いため、購入後すぐに住める状態になっている住宅が多くあります。壁紙や床だけでなく、水回りの設備まで交換されていることもあります。
ただし、どこまでリフォームされているかは、物件ごとに違います。室内の見える部分だけを新しくしている住宅もあれば、外壁や屋根、給湯器まで工事している住宅もあります。
キッチンや浴室が新しくなっていても、床下や壁の中の給排水管まで交換されているとは限りません。
そのため、「リフォーム済み」と書かれているだけで判断せず、どの部分を工事したのかを確認しておく必要があります。
個人が売主の中古住宅では、売主が住んでいる状態のまま販売していることもあります。空き家であっても、リフォームせず、現在の状態のままで売却する住宅もあります。設備や内装が古くても、その分、購入価格を抑えられることがあります。
購入後に自分たちの好みに合わせて改装したい方にとっては、リフォームされていない住宅の方が合うこともあります。
買取再販住宅と個人売主の住宅では、どちらがよいと一律には決められません。購入後すぐに住みたいのか。自分で改装したいのか。購入価格と改装費用を合わせて、どのくらいの予算になるのか。その人の希望によって、選び方は変わります。
もう一つの大きな違いが、売主の契約不適合責任です。
売主が宅地建物取引業者で、買主が一般のお客様の場合、宅地建物取引業法により、買主に不利な特約には制限があります。引渡しの日から2年以上、契約不適合責任を負う内容にすることは認められていて、実務では2年間とする契約が多く使われています。
ただし、これは建物や設備のすべてを、2年間無条件で保証するという意味ではありません。
戸建住宅では、雨漏り、シロアリ被害、建物内の給排水管などについて、契約書で責任の範囲を定めます。マンションでは、専有部分の給排水管などについて定めます。買主が購入後に水回りの改装工事を行い、既存の配管を撤去または交換する場合には、給排水管が売主の責任の対象から除かれることもあります。
新しく設置されたキッチン、給湯器、トイレなどの設備に不具合が起きた場合は、設備メーカーの保証で対応することがあります。それ以外の不具合については、売買契約書で売主が責任を負う内容になっているかどうかを確認します。
既存住宅売買瑕疵保険に加入している買取再販住宅もあります。この保険は、構造上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分のほか、商品によっては給排水管路や設備を対象にできるものもあります。保険期間も、商品によって2年または5年です。
一方、個人が売主となる中古住宅では、契約不適合責任を免責とする契約もあります。特に、築年数の古い住宅や、相続した空き家、建物の修理歴が分からない住宅では、売主が建物の状態について責任を負わない条件で売却することがあります。
ただし、免責と書いてあれば、どのような場合でも売主が責任を負わないとは限りません。売主が知っていた不具合を告げずに売却した場合などは、また別の問題になります。
そのため、個人売主の中古住宅を購入するときは、建物の状態だけでなく、どのような条件で引き渡されるのかを確認しておくことが大切です。
金額の面でも、少し違いがあります。売主が不動産会社の場合、建物の価格には消費税がかかります。個人が売主の場合は、建物にも消費税はかかりません。表示されている価格が同じでも、その中身は同じではない、ということです。
また、住宅ローン控除についても、買取再販住宅は中古住宅とは別の区分として扱われています。工事費用の割合や、不動産会社が取得してからの期間など、細かい要件があり、増改築等工事証明書という書類も必要になります。控除の金額や期間は入居した年によって変わりますので、実際に使えるかどうかは、税務署や税理士、販売する不動産会社に確認してください(2026年8月時点の制度をもとにしています)。
寝屋川市や枚方市でも、同じくらいの価格帯で、買取再販の住宅と、個人が売主の住宅が並んで売り出されていることがあります。写真だけを見比べると、どうしてもきれいな方に目が向きます。
買取再販住宅は、室内がきれいで、購入後すぐに住みやすいという利点があります。個人売主の住宅は、現在の状態を見ながら、自分たちで改装内容を決められるという利点があります。
私は、買取再販だから安心、個人売主だから不安、という見方はしていません。どちらにも向き不向きがあって、確認すべきところが違うだけだと考えています。
大切なのは、見た目だけで選ばないことです。
どこまでリフォームされているのか。売主は不動産会社なのか、個人なのか。購入後に不具合が見つかった場合、誰がどこまで責任を負うのか。設備にはメーカー保証があるのか。既存住宅売買瑕疵保険に加入しているのか。購入価格とは別に、改装費用をどのくらい考えておく必要があるのか。
同じように見える中古住宅でも、売主と契約内容によって、購入後の扱いは変わります。室内のきれいさだけではなく、工事の内容と売買の条件まで確認してから選ぶ。それだけで、あとから困ることはずいぶん減ります。
とはいえ、こうした違いを、広告と図面だけで見分けるのは簡単ではありません。分からなくて当たり前ですので、心配しなくて大丈夫です。
気になっている物件があれば、売主が不動産会社なのか個人なのか、リフォームはどこまで行われているのか、契約ではどこまで責任を負う内容になっているのか。そのあたりを一緒に確認していけます。購入するかどうかを、まだ決めていない段階でもかまいません。
※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、専門家にご確認ください。
