久しぶりに実家へ寄ったら、郵便受けからチラシがあふれていた。
玄関を開けると、少し埃っぽい空気。台所の窓を開けて、庭を見ると、草が思っていたよりも伸びている。
親が住んでいた家に、今は誰も住んでいない。そのことは分かっている。でも、忙しさに紛れて、気づけば半年、一年と過ぎてしまっている。そういう方は、少なくありません。
売った方がいいのか。貸した方がいいのか。それとも、まだこのまま置いておいていいのか。考え始めると、決めることが多すぎて、結局また先送りになる。これは、よくあることです。
責められることでは、ありません。実家をどうするかというのは、それくらい重たい決断です。
ただ、空き家は、誰も住まなくなると、少しずつ傷んでいきます。
窓を開けることがなくなり、室内の空気が入れ替わらない。水道を使わなくなり、排水口の水が切れる。小さな雨漏りがあっても、誰も気づかないまま広がっていく。
庭木や雑草も、放っておけば伸び続けます。
道路や隣の敷地にはみ出してしまえば、近隣から連絡が入ることもあります。傷みがひどくなれば、行政から管理を求められることもあります。害虫や、ごみの不法投棄につながることもあります。
問題が大きくなってから対応しようとすると、修理や片付けにかかる費用が、そのぶん増えてしまいます。
こう聞くと、急いで何とかしないと、と不安になるかもしれません。
でも、慌てなくて大丈夫です。
放置された空き家だからといって、すぐに売らなければならないわけではありません。
空き家には、いくつかの選び方があります。
必要なところだけ修理して貸す。家族が使えるように、しばらく残しておく。定期的に様子を見ながら、判断を保留する。売却する。
どれが合っているかは、建物の状態や場所だけでは決まりません。
親御さんが戻る可能性はあるのか。兄弟や親族が使う予定はあるのか。固定資産税や管理の負担を、これからも続けられるのか。そうした事情によって、選ぶ方法は変わってきます。
貸すことを考える場合は、家賃で固定資産税や管理の負担をまかなえるかどうかが、ひとつの目安になります。
水道や電気が使えるか。雨漏りはないか。給湯器や水回りに問題はないか。こうした点を直すのに、どれくらい費用がかかるのか。直したとして、周辺で借り手が見つかりやすい地域なのか。
修理をすれば必ず借り手が見つかる、というわけでもありません。だからこそ、先に修理を始めるのではなく、まず費用と見込める家賃を確認してから決めます。
片付けや修理を、先にすべて終わらせる必要もありません。
家具や荷物が残っている状態でも、建物の確認や、おおよその査定はできます。片付けにかけた費用が、そのまま売却価格に上乗せできるとは限らないので、先に手をつけない方がいい場合もあります。
もうひとつ、忘れられがちなのが、名義の問題です。
家が親御さんの名義のままで、ご本人が認知症などにより契約の内容を十分に判断できない状態にある場合、ご家族だけの判断では、売ることも貸すこともできないことがあります。
その場合は、成年後見制度など、別の手続きを含めて考える必要が出てきます。ここは、実際に多くの方が悩まれるところです。
遠方にあって、なかなか見に行けない場合でも、すべてを自分で行う必要はありません。
近くに住むご親族に、鍵を預けて見てもらう。建物の外観や室内の写真を撮ってもらう。家財道具がどの程度残っているか、確認してもらう。
そのうえで、貸した場合の家賃、修理にかかる費用、売却した場合の価格を確認できれば、何度も現地へ足を運ばなくても、今後の方向を考えられます。
寝屋川市や枚方市に住みながら、遠方の実家をどうするか迷っている、というご相談も少なくありません。距離があるぶん、判断の材料が集まりにくいのだと思います。
遠方であっても、一人ですべてを抱え込む必要はありません。
まずは、いまの状況を、不動産や相続にくわしい人に話してみる。それだけでも、ずいぶん見通しが立ちます。
売ることを前提にお話をうかがうわけではありません。貸す方法、残しておく方法、売る方法。それぞれにかかる費用と、得られるものを一緒に整理しながら、進め方を考えます。
まだ決めていない段階でも大丈夫です。気になることが出てきたときに、その都度うかがえれば十分です。
※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、司法書士などの専門家にご確認ください。
