寝屋川市で「空き家税」が決まりました──実家の空き家をお持ちの方へ

    寝屋川市内の空き家の外観

    寝屋川市で、「空き家税」と呼ばれる新しい税金の条例が決まりました。誰も住んでいない空き家の所有者に、固定資産税とは別の税金を負担してもらい、売却や賃貸などの流通を促そうという仕組みです。

    実は、私の会社も寝屋川市にあります。地元の話なので、なおさら他人事とは思えませんでした。

    親から相続した実家。誰も住まなくなり、何年も空いたままになっている家。どうにかしなければと思いながら、そのままになっている。そういう方は、少なくありません。

    今回の話は、まさにそのような家に関わってきます。

    2026年7月9日、寝屋川市の「空き家流通促進税」、いわゆる空き家税の条例が、市議会で全会一致で可決されました。市内全域を対象とした空き家流通のための税制度は、全国で初めてとされています。

    ただし、すぐに始まるわけではありません。今後、総務大臣の同意を得たあと、対象となる空き家の調査やシステムの準備が行われます。施行は、早ければ2029年の早い時期とされています。ですから、今日明日で何かが変わるわけではありません。

    かかるのは、固定資産税とは別の新しい税金です。計算は、少し複雑です。

    一つは、空き家となっている家屋の固定資産税額を基にした部分。もう一つは、敷地となる土地の1平方メートル当たりの固定資産税額に、空き家の延べ面積を掛けた部分です。この二つに、それぞれ35%を掛けて合算したものが税額になります。

    ここは誤解されやすいところです。現在支払っている固定資産税の総額へ、単純に35%を上乗せする仕組みではありません。家屋と土地を基に、それぞれ計算します。

    そのため、実際の税額は物件ごとに変わります。自分の家がどの程度になるのかは、制度の詳細が決まったあとに、市へ確認するのが確実です。

    そして、誰も住んでいない家のすべてに、必ず課税されるわけではありません。売却や賃貸の募集を始めて間もない家、事業に使用している家、所有者や居住者の死亡によって空き家になった家などには、課税免除の規定が設けられています。

    つまり、この税金が目指しているのは、空き家を持っている人を一律に責めることではありません。売却も賃貸もせず、活用されないままになっている空き家を、市場へ出してもらうことです。

    ただ、ここで一つ気をつけたいことがあります。「とりあえず売りに出しておけばよい」と考える方もいるかもしれません。

    市が2026年1月に公表した条例の素案では、課税を免除されるのは、売却や賃貸の募集を始めた日から1年を経過していない空き家とされています。ずっと免除されるわけではありません。

    さらに、空き家の状態が続いている間に、売却や賃貸の募集を2回以上行った場合は、最初に募集を始めた日から数えると書かれています。いったん募集をやめて、もう一度募集を始めても、1年が最初から数え直されるわけではないということです。

    そのため、形だけ売りに出しておけばよいという制度ではありません。

    売却するのか。貸すのか。別の用途に使うのか。空き家をどうするのか、実際に動くことが求められます。

    課税免除の手続きについても、注意が必要です。素案では、売却や賃貸の募集、事業利用、死亡による免除を受ける場合、原則として、その年の1月31日までに、理由を証明する書類を添えて市へ申告することになっています。ただし、市長が申告の必要がないと認める場合は、この限りではありません。どのような書類が必要になるのかなど、細かな手続きは今後定められる規則を確認する必要があります。

    相続によって空き家になった場合にも、免除があります。素案では、所有者が死亡した場合や、居住者の死亡によって空き家になった場合は、一定の基準日から3年度分に限って免除されるとしています。ずっと免除されるわけではありません。

    相続が起きてから、名義や今後の使い方を整理するための時間が、一定期間設けられていると考えた方がよいと思います。

    では、住んでいるかどうかを、市はどのように判断するのでしょうか。

    市の審議会が令和8年2月にまとめた答申では、水道の使用量と住民票のデータを組み合わせ、必要に応じて現地調査を行う案が示されています。水道が止まっている場合や、使用量がごくわずかな場合には、住民票の有無にかかわらず現地を確認する、という考え方です。現地では、のぼりや看板によって売却中かどうかも確認するとされています。

    住民票を残したままにしていても、実際に生活していなければ、空き家と判断される可能性があるということです。

    一方で、一時的に住んでいないだけの家もあります。転勤で、数年後に戻る予定がある。介護施設に入っている。こうした場合について、素案には、市長が定める事由により一時的に居住の用に供していない空き家の所有者は減免することができる、という規定が置かれています。

    条例が可決された日の記者会見でも、広瀬市長は、転勤や介護施設への入所といった個別の事情がある場合は課税から外す基準を設ける、と説明したと報じられています。あわせて、市内でほとんど生活していない二拠点生活のようなケースとどう区別するかなど、細かな点は今後3年ほどかけて決めていく予定だとされています。

    つまり、2026年7月15日の時点で分かっているのは、大枠までです。自分の家がどう扱われるのかは、これから決まる部分が残っています。

    なお、募集期間や申告手続き、死亡による免除については、2026年1月に寝屋川市が公表した条例素案の内容を基にしています。素案では税率が50%でしたが、2026年7月9日に可決された条例では35%に変更されています。

    今後、総務大臣との協議や市の規則づくりによって、手続きの詳細が変わる可能性があります。実際に売却や賃貸などを進める前には、必ず寝屋川市の最新の発表を確認してください。

    ここまで読んで、急いで売らなければならないのかと、不安になった方もいるかもしれません。ただ、慌てて売却を決める必要はありません。施行までは、まだ時間があります。

    それに、「売ればよい」と言われても、簡単には売れない空き家もあります。

    名義が亡くなった親のままになっている。兄弟や親族の共有になっていて、話がまとまっていない。再建築ができない土地に建っている。建物が傷んでいる。室内に多くの荷物が残っている。

    こうした家は、売りに出す前にも、いくつもの準備が必要です。

    私は、相続が関係する空き家や、少し事情のある不動産を長く扱ってきました。その経験から思うのは、最初から売ると決める必要はないということです。

    まず、現在の家がどのような状態なのかを確認する。名義は誰になっているのか。相続登記は済んでいるのか。売却できる家なのか。貸すことはできるのか。修繕や解体が必要なのか。

    そこが分かれば、次に何をすればよいのかが見えてきます。

    2029年までは、まだ時間があります。ただし、相続登記や親族間の話し合い、建物や土地の調査には、思った以上に時間がかかることがあります。売りに出しても、すぐに買主が見つかるとは限りません。

    動くのは少し先でも、状況を調べておくことは、早い方が楽です。

    空き家をめぐる制度は、少しずつ変わっています。相続登記は義務化されました。また、管理が不十分な空き家として行政から勧告を受けた場合には、土地の固定資産税の軽減措置が受けられなくなることもあります。

    今回の空き家流通促進税も、その流れの一つです。行政の姿勢は、空き家の活用をお願いする段階から、所有者に具体的な対応を求める方向へ進んでいます。

    だからといって、一人で全部を抱える必要はありません。まずは、今の状況を不動産や相続に詳しい人へ話してみる。

    売るのか。貸すのか。しばらく持つのか。それを決めるのは、状況を整理したあとで構いません。

    寝屋川市内の空き家について気になることがあれば、ご相談ください。同じ寝屋川市にある不動産会社として、一緒に状況を整理します。

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    https://lifestage-co.net/souzoku-report/

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    参考にした資料

    課税免除の期間、申告の期限、相続によって空き家になった場合の取扱い、減免の規定、居住しているかどうかの判断方法については、寝屋川市が公表している次の資料を基にしています。

    ・(仮称)寝屋川市空き家流通促進税条例(素案)に対する意見募集の結果/寝屋川市
    https://www.city.neyagawa.osaka.jp/organization_list/toshidesign/toshisanka/26393.html

    ・(仮称)寝屋川市空き家流通促進税条例(素案)/PDF
    https://www.city.neyagawa.osaka.jp/material/files/group/137/akiyazei_jourei_soann.pdf

    ・空き家の市場流通を促進するための新たな手法について(寝屋川市空き家流通促進審議会 答申・令和8年2月)/PDF
    https://www.city.neyagawa.osaka.jp/material/files/group/137/tousin_akiyanitaisuruhotueigaizeitounoarikatanituite.pdf

    条例が可決されたこと、税率が35%であること、記者会見での市長の説明については、次の報道を基にしています。

    ・日本経済新聞(2026年7月9日)「大阪・寝屋川市の空き家税条例成立 市内全域は全国初」
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF25BTT0V20C26A6000000/

    ・読売テレビ(2026年7月9日)「【全国初】『空き家にも課税』大阪・寝屋川市議会が条例案を可決」/Yahoo!ニュース
    https://news.yahoo.co.jp/articles/c0f8e215ff2d1c282bfaec757ddb9b1f3750fa9c

    ・週刊大阪日日新聞(2026年7月9日)「寝屋川市「空き家税」が成立 子育て世代へ住まいをバトンタッチする街づくりへ」
    https://weekly-osakanichi2.net/archives/53954

    ※本記事は、2026年7月15日時点で確認できた情報を基にしています。今後、総務大臣の同意や市の規則制定などにより、制度の内容や手続きが変更される可能性があります。