不動産の賃貸契約でも売買契約でも
契約を締結する前におこなわれることがあります。
それは重要事項説明です。
この重要事項説明は、誰でもがおこなうことができません。
毎年1回10月ころにおこなわれる宅地建物取引士資格試験に合格した者が、
受験した試験地の都道府県に登録をおこない、
有効な宅地建物取引士証を所持している者が説明できます。
この説明は省略することができないように、
法律(宅建業法)で定められています。
契約する前に説明を聞いても、なかなか理解できない部分もあると思います。
でも、名称にあるように重要なことを説明するのです。
これから「部屋を借りる」または「購入する」方は
知っていて損はないと思います。
物件によって違いはありますが、
説明する項目に大差はないので、
数回に分けて表面的な説明をおこなっていきます。
賃貸借物件からはじめていきます。
<賃貸の場合(居住用)>
1.不動産業者についての項目があります。
①対象不動産について、貸主、代理、仲介など取引態様について記載しています。
②不動産業者の宅地建物取引業免許について記載しています。
③説明をする宅地建物取引士について記載しています。
④宅地建物取引業保証協会に加盟しているかなど供託所等について記載しています。
2.建物の表示
①○○マンションなどの名称
②住居表示(郵便物などが届く住所)
③建物の構造(木造、鉄骨造など)
④床面積や建物の建築年月
3.貸主の表示
①貸主の住所と氏名
4.対象不動産の登記簿謄本に記載された事項
①所有者の住所と氏名
②差し押さえなどの所有権に関する事項(謄本 甲区)
③抵当権などの所有権以外に関する事項(謄本 乙区)
④登記名義人と貸主が同じか否か
・抵当権や根抵当権が設定されている場合(多くの物件は設定されています)は、
何らかの事情で抵当権や根抵当権が実行され競売の手続きに移行されたときは、
裁判所から通知があり執行官から質問されることがあります。
また、落札されたときは所有権が移転されてから新しい家主に賃料を支払うことになります。
5.別に法令の制限を受けることがあれば記載されます。
6.飲用水、電気、ガスの供給施設
①公営水道、都市ガスやLPガス、公共下水や浄化槽や汲み取りなどの設備について記載しています。
7.建物の状況調査の結果
①1年以内にインスペクション(住宅診断)などの建物状況調査の実施の有無について記載しています。
8.建物の設備の状況
①コンロが設置されているか、トイレや風呂は共用か専用かなど設備について記載しています。
9.当該建物の位置(場所)
①宅地造成や土砂災害や津波災害などの防災区域内外などを記載しています。
10.水害のハザードマップ
①洪水や内水や高潮などの災害の可能性がある地域などを記載しています。
11.アスベストの使用調査
①アスベストの使用や調査の有無について記載しています。
12.耐震診断
①耐震診断の調査の有無について記載しています。
13.金銭の授受
①賃料、管理費、礼金、駐輪場や駐車場の利用料金について記載しています。
②その料金の支払い方法について記載しています。
14.契約解除に関する事項
①賃料などの利用料金の延滞や契約条件に違反した場合の解約について記載しています。
②反社会勢力に関する事項も記載しています。
15.損害賠償金や違約金に関する事項
16.契約期間に関する事項
①契約期間
②更新料の有無について記載しています。
17.使用の制限
①ペット飼育の有無
②ピアノなどの楽器の使用の有無
③改修工事の制限
④用途の制限(居住用のみなど)
18.建物管理について
①管理会社がある場合は管理委託先情報が記載しています。
19.当該建物が借地の場合
①借地期間について記載しています。
20.その他の重要な事項
①この欄は、家主様や管理会社様によって内容に違いがあります。
例えば
・退去時のハウスクリーニング費用の有無
・入居時の鍵交換費用
・契約期間内の解約について(短期解約違約金など)
・民泊利用の有無
・残置物の設備に関する事項
・テレビアンテナの設置工事費の負担
・町内会や自治会費の費用負担
・ガスコンロや石油ストーブなど使用の有無
・原状回復について
等々
おおまかな内容説明でしたがいかがでしたか?
知らない部分もあったかと思います。
参考にしてください。
では、次回は売買の重要事項説明をします。