転職・退職の前に確認しておきたい、住宅ローンの順番

    気に入った物件が見つかって、家族の気持ちもまとまってきた。その打ち合わせの途中で、「実は先月、会社を変わりました」とお話しいただくことがあります。

    転職そのものは、前を向いた判断です。責められることでは、ありません。ただ、住宅ローンを使って家を買う予定があるなら、先に確認しておいた方がいいことがあります。

    順番の話です。

    不動産を購入するとき、金融機関は年収だけを見ているわけではありません。勤続年数。収入の安定性。勤務先。雇用形態。転職後の状況。そして、今後も返済を続けられるか。こういう部分も見られます。

    本人からすると、転職は前向きな判断かもしれません。前の会社より収入が上がる予定。仕事内容も良くなる。将来のために動いた。そういう場合もあります。

    でも、住宅ローンの審査では、これから良くなる予定です、だけでは進まないことがあります。見られるのは、過去の収入と現在の収入。それから、今後も安定して返済できるかどうかです。

    ここで、思っていたより話が止まることがあります。

    気に入った物件が見つかる。家族で話し合う。場所も良い。支払いも何とかいけそう。ここならいいね、と気持ちがまとまる。そうなってから、住宅ローンの話で止まる。

    これは、かなり動揺します。

    物件が悪いわけではありません。本人が悪いわけでもありません。家族の考えが間違っていたわけでもありません。でも、住宅ローンが思うように進まない。

    えっ、買えないの。転職する前なら大丈夫だったの。この物件、諦めないといけないの。そういう気持ちになることがあります。

    家を買う話は、単なる買い物ではありません。家族のこれからの生活。子どもの学校。通勤。毎月の支払い。将来の安心。いろいろなことが絡みます。だからこそ、住宅ローンで止まったときのショックは大きいのです。

    もちろん、転職したら住宅ローンが組めない、退職したら絶対に家が買えない、という話ではありません。

    たとえば、住宅金融支援機構のフラット35では、最近転職して給与支給を受けている場合でも、申込みできる場合があります。

    ただし、ここで注意が必要です。転職後の収入をもとに年収を計算する場合、実際に支給された給与をもとに、年収として見られることがあります。転職後の給与がまだ2か月分、3か月分しかない場合、その期間の平均月収を12倍して、年収として考えられることがあります。

    そうなると、転職前の源泉徴収票では年収が高かったとしても、住宅ローンの審査上は、思っていたより低い年収で見られることがあります。本人は、年収が下がったつもりがなくても、住宅ローン上の年収は低く見られる。その結果、借りられる金額が思っていたより少なくなる。買えると思っていた物件に届かなくなる。こういうことがあります。

    収入の見られ方は、金融機関によっても違います。どこも同じ基準で見ているわけではありません。だから、一般論だけで決めつけない方がいい部分でもあります。

    これが、物件を見つけたあとに分かるとつらいのです。家族で気持ちが前に進んだあと。売主さんとの話が進みかけたあと。その段階で住宅ローンが難しいと分かると、気持ちの整理がつきにくい。

    仕事を変えたことが失敗だったのか。家を買うタイミングを間違えたのか。もっと早く相談しておけばよかったのか。そんなふうに感じてしまうこともあると思います。

    でも、転職や退職が悪いわけではありません。仕事を変えることも、独立することも、人生の中では必要な判断かもしれません。

    ただ、不動産購入や住宅ローンを考えるなら、順番は大切です。

    会社を辞める前に、住宅ローンのことを確認しておく。転職する前に、家を買う予定があるのか整理しておく。独立する前に、どのような資料や実績が必要になるのか確認しておく。それだけで、あとから困ることを減らせる場合があります。

    仕事を変えれば、収入の見られ方が変わる。収入の見られ方が変われば、住宅ローンに影響する。住宅ローンに影響すれば、住まいの計画も変わる。仕事、住まい、お金は、別々のようでつながっています。

    家を買うことは、物件を選ぶことだけではありません。買える状態を整えることも、とても大切です。

    寝屋川市の事務所でも、転職の予定を伺ってから、購入の順番を一緒に並べ直すことがあります。まだ決めていない段階でも大丈夫です。

    今、住宅ローンを進めてもよい状態なのか。転職後でも進められる可能性があるのか。少し待った方がよいのか。先に確認しておくべきことは何か。ここを整理するだけでも、あとからの不安はかなり変わります。

    住宅ローンのことは、金融機関に出してみないと分からない部分もあります。ただ、出す前に整理できることもあります。収入の見られ方。勤続年数。転職のタイミング。借入希望額。家族の希望。購入時期。こういうことを一つずつ確認していくと、今動くべきか、少し待つべきか、別の方法を考えるべきかが見えてくることがあります。

    住宅ローンが通るか通らないかを、その場で決めることはできません。でも、今の状況を並べて、どの順番で進めるのがよさそうかを一緒に考えることはできます。

    転職や退職を考えていて、家のことも頭にある方。話が具体的になる前の段階で一度整理しておくと、選べる道を狭めずに進めやすくなります。

    ※この記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。制度の詳細や個別の取り扱いについては、金融機関・専門家にご確認ください。

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