介護や実家の世話をしてきた人が、相続不動産でしんどくなる理由

    役所の窓口に行く。実家の郵便物を確認する。近所の方からの電話を受ける。不動産業者に問い合わせる。相続の手続きで動いているのが、いつも自分ひとりだと気づく瞬間があります。

    相続不動産の相談を受けていると、よく感じることがあります。それは、実際に動いている人ほど、しんどくなっているということです。

    親の介護をしていた。親の面倒を見ていた。病院への行き帰りの世話をしていた。日々の買い物や、ちょっとした用事も頼まれていた。そのうえで、親が亡くなった後も、家のことを考えないといけない。

    親の家を見に行く。近所からの連絡を受ける。家の中の荷物を確認する。役所に行く。不動産業者に相談する。こういうことを、相続人全員で同じようにすることは、ほとんどありません。

    たいていは、誰か一人に寄ります。

    近くに住んでいる人。親とよく連絡を取っていた人。昔から家のことを任されていた人。そして、親の世話を一番してきた人。その人が、自然と動くことになります。

    最初は、それでもいいと思って動きます。親のことだから。放っておけないから。自分がやるしかないから。でも、時間が経つと、少しずつ気持ちが変わります。

    なぜ自分だけが動いているのか。なぜ他の兄弟は何もしてくれないのか。なぜ相談した時だけ意見を言うのか。

    そして最後に、お金を分ける話になると、動いていなかった人も同じように権利を主張します。もちろん、相続人である以上、権利はあります。でも、動いてきた人からすれば、簡単には割り切れません。

    一方で、動けなかった側にも事情があることが多いです。遠方に住んでいて、そう簡単には帰れなかった。自分の仕事や家庭のことで手が回らなかった。頼まれなかったから、任せているつもりでいた。悪気なく距離ができていた、というだけのことも多いのです。どちらが悪いという話ではありません。

    ただ、動いてきた人の気持ちは、お金の話とは少し違うところにあります。お金が欲しいというより、自分がしてきたことを、なかったことにされたくない。

    親の面倒を見てきた時間。病院に付き添った時間。家のことを気にしてきた時間。一人で抱えてきた気持ち。そこを、少しでも分かってほしい。本当は、そこなのだと思います。

    相続不動産で揉めるのは、金額だけではありません。誰が動いたのか。誰が負担したのか。誰が親のそばにいたのか。そこに感情が残ります。

    だから、一人で抱え込まないことです。

    親の介護のこと。家の状態。荷物の量。近所からの連絡。必要な費用。業者とのやり取り。できるだけ早い段階で、相続人の間で共有しておく。それだけでも、後の揉め方は変わります。

    伝えていないことは、伝わりません。離れて暮らしている人は、何がどれだけ大変なのかを知らないままでいることが多いです。だから、抱えている内容をそのまま並べて見せるだけでも、受け取り方は変わります。

    相続不動産は、家や土地の問題に見えて、実際は人の気持ちの問題です。動いた人だけが、しんどくならないように。親のことを見てきた人だけが、損をしたような気持ちにならないように。

    本当は、大きなお金の話よりも、たった一言で救われることがあります。ひとりに世話させて悪かったな。ありがとう。お疲れ様。この一言があるだけで、気持ちが少しほどけることがあります。

    相続で必要なのは、書類やお金の整理だけではありません。今まで誰が支えてきたのか。誰が動いてきたのか。誰が親のそばにいたのか。そこを家族の中で、ちゃんと見ておくこと。それも、相続不動産を整理するうえで、とても大切なことだと思います。

    もし今、一人で抱えている状態なら、その中身を書き出すところから始めてみてください。家の状態、かかっている費用、やらなければいけないこと。並べて見える形にするだけで、他の相続人にも伝えやすくなります。

    そこがうまくまとまらないときは、こちらで一緒に整理することもできます。まだ何も決まっていない段階でも大丈夫です。

    相続・空き家・認知症の無料レポートを受け取る

    お問い合わせ・無料相談はこちら