一括査定サイトの送信ボタンを押す。その数分後に、スマートフォンが鳴り出す。出ないでいると、また別の番号から着信が入る。
夕方に着信履歴を開いたら、知らない番号がいくつも並んでいた。そういう経験をされた方もいると思います。メールでの連絡を希望していたのに、何度も電話が入る。そのことに驚かれる方も少なくありません。
なぜ、不動産会社は電話をかけたがるのでしょうか。
一つは、他社よりも先に売主様と接触したいからです。
一括査定サイトでは、同じ査定依頼が複数の不動産会社へ送られます。不動産会社から見ると、最初から他社との競争です。
先に電話をして、売主様と話をする。売却を考えている理由や、いつ頃までに売りたいのかを確認する。そして、できれば訪問査定の約束まで取りたい。そのため、査定依頼が届くと、すぐに電話をかける会社が多くなります。
電話では、売る気持ちがどの程度あるのかも確認します。まだ相場を知りたいだけなのか。売却することは決めていて、依頼する不動産会社を探しているのか。できるだけ早く売りたい事情があるのか。
不動産会社にとっては、売却につながる可能性がどのくらいあるお客様なのかを、早い段階で知りたいのです。
戸建てであれば、土地の広さ、建物の築年数、間取り、現在の家族構成などを聞くことがあります。もちろん、査定をするために必要な情報もあります。ただ、それだけではありません。
この不動産を売却したあと、どこへ行くのか。次の住まいはすでに決まっているのか。それとも、これから探すのか。
これから探すのであれば、現在の不動産の売却だけではなく、次に住む不動産の購入も依頼してもらえる可能性があります。売却と購入の両方を担当できれば、不動産会社にとっては二つの仲介につながります。
もう一つは、机上査定を訪問査定へ変更したいという理由です。実際に売主様と会い、物件を見て、その場で査定の説明をする。そこから、そのまま専任媒介契約まで進みたいという気持ちもあります。
訪問査定をすること自体が悪いわけではありません。建物の状態、日当たり、室内の傷み、リフォームの状況、道路との高低差など、現地を見なければ分からないことがあります。
ただ、物件を詳しく確認することよりも、売主様と会って媒介契約を取ることが主な目的になっている場合もあります。
また、不動産会社や営業担当者によっては、査定書を作成することが苦手なこともあります。査定書を作るのが面倒だと感じている。査定金額の根拠を文章や数字で説明することに慣れていない。そもそも、正式な査定書を作成した経験がほとんどない。
そのため、メールで査定書を送るよりも、電話や訪問で口頭説明を済ませようとすることも考えられます。
さらに、不動産会社の営業担当者の立場から考えると、電話をかけたがる理由がもう少し見えてきます。
一括査定サイトなどから入った問い合わせは、一件ずつ営業担当者へ割り振られます。担当者は、その問い合わせに対して、どのような対応をしたのかを上司へ報告しなければなりません。
売却のお客様であれば、媒介契約を取れそうなのか。訪問査定の日程は決まったのか。売却理由や希望時期は確認できているのか。
購入のお客様であれば、物件の案内日は決まっているのか。手持ち資金はいくらあるのか。どのくらいの価格の物件を探しているのか。住宅ローンは利用できそうなのか。
そのようなことを聞かれます。問い合わせを受け取ったまま、何も分からない状態では報告ができません。
営業担当者には、毎月の成績もあります。媒介契約を何件取ったのか。何組のお客様を案内したのか。何件の契約につながったのか。
そのため、売却や購入を早く進めたいお客様を見つけたいという気持ちがあります。メールで何度もやり取りをするよりも、電話で話した方が早い。できれば訪問して、直接会いたい。そう考える営業担当者も少なくありません。
一度顔を合わせることができれば、その後の連絡もしやすくなります。また、営業会社によっては、訪問の予定が入っている方が、担当者自身も事務所から外へ動きやすくなることがあります。
もちろん、すべての営業担当者が同じ考えで電話をしているわけではありません。査定に必要な内容を正確に確認したい。売主様の事情を聞き、どのような売却方法がよいかを考えたい。そのために電話をかけている担当者もいます。
ただ、不動産会社が電話をかけたがる理由は、査定に必要な内容を確認するためだけではありません。
他社より先に売主様と接触したい。売却する気持ちの強さを確認したい。訪問査定につなげたい。そのまま媒介契約を取りたい。住み替えであれば、次の住宅購入も依頼してもらいたい。
営業担当者の立場では、問い合わせを受けたあとの進み具合を上司へ報告しなければならず、毎月の成績もあります。そのため、メールで何度もやり取りをするより、電話で話し、できれば直接会いたいと考えます。
査定を依頼した直後に電話がかかってくるのは、このような不動産会社側と営業担当者側の事情が重なっているからです。
電話で話す方が早いこともあります。ただ、メールでの連絡を希望しているのであれば、査定を依頼するときに、その希望をはっきり伝えておいてよいと思います。
それでも電話が続く場合は、その会社へ無理に対応する必要はありません。断りきれずに訪問の約束をしてしまったとしても、責められることでは、ありません。まずは査定額と、その金額になった理由を確認してから、訪問査定を頼むかどうかを決めても遅くありません。
当社では、戸建てであれば物件所在地、土地面積、建物面積、築年数、マンションであれば物件所在地、マンション名、専有面積が分かれば、まず机上査定を行っています。電話や訪問を前提にせず、査定金額とその根拠をメールや書面でお伝えしています。
売ると決めていない段階でも大丈夫です。今どのくらいの金額なのかを知っておきたい。その理由だけで、査定を頼んでいただいて構いません。
